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水曜会(第694回)

情報公開日:2015年12月10日 (木曜日)

日時

平成27年12月22日(火曜日)13時30分~

場所

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 講堂
茨城県つくば市観音台3-1-5 (交通案内/会場案内(建物3))
Tel: 029-838-7707(企画管理部 業務推進室 交流チーム)
Fax: 029-838-7907

今回の水曜会は、農業生物資源研究所の加藤悦子先生による植物ウイルス蛋白の構造解析を通じた抗ウイルス剤の探索と動物ウイルスへの応用についての演題1題を予定しております。
参加希望者の事前登録は不要、当日参加も可能です。皆様のご来聴をお待ちしております。

内容

座長:横山 隆(動衛研)

プラス鎖RNAウイルス複製機構解明に向けた構造生物学研究(60分)

○加藤 悦子(農業生物資源研究所 生体分子研究ユニット 上級研究員)

農学・医学上重要な多くのプラス鎖RNAウイルスのゲノムはスーパーファミリー1(SF1)ヘリカーゼ様ドメインをコードしている。このヘリカーゼ様ドメインは多くのプラス鎖RNAウイルスに共通にコードされており、ウイルス複製に重要な役割を果たしていることが知られている。しかし、その立体構造は明らかにされていなかった。我々は、プラス鎖RNAウイルスに属するトマトモザイクウイルスがコードするSF1ヘリカーゼ様ドメインを含む安定領域(ToMV-Hel)を実験的に決定し、その構造決定に成功した。その結果、ToMV-Helは2つのRecA様ドメインからなるヘリカーゼコアドメインと特徴的なN末ドメインから形成されていることが分かった。既に構造が明らかになっているSF1ヘリカーゼと比較した結果、他のSF1ヘリカーゼドメインにはアクセサリードメインと呼ばれる付加的な構造がコアドメイン中に挿入されているが、ToMV-Helにはコアドメインにアクセサリードメインが存在しないこと、N末ドメインの構造はToMV-Hel特有であることから、新規なSF1ヘリカーゼであることが明らかとなった。さらに、このドメインは多くのプラス鎖RNAウイルス(例えばブタ流行性下痢ウイルス、人畜共通感染症であるE型肝炎ウイルスやベネズエラウマ脳炎ウイルスなど)がコードするSF1ヘリカーゼと類似していることが予想された。そこで、ToMV-Helの立体構造に基づいて見出した薬剤候補化合物について他のウイルスによる効果を検証した結果、候補化合物のうち一つの化合物がブタ流行性下痢ウイルス等に効果があることが分かった。講演の後半では、昨年度報告したToMV-Helとウイルス複製阻害因子Tm-1との複合体形成機構についても紹介したい。

法人番号 7050005005207