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水曜会(第704回)

情報公開日:2018年2月 6日 (火曜日)

今回の水曜会では、東京大学大学院農学生命科学研究科(獣医微生物学研究室)から 堀本 泰介 教授をお招きし、「新しい-D型-インフルエンザ」についてご講演いただきます。
参加希望者の事前登録は不要、当日参加も可能です。皆様のご来聴をお待ちしております。

日時

平成30年2月28日(水曜日)13時30分~

場所

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 講堂
茨城県つくば市観音台3-1-5 (交通案内/会場案内(建物3))
Tel: 029-838-7937(企画管理部 企画連携室 交流チーム)
Fax: 029-838-7907

内容

座長:西藤 岳彦(動衛研)

新しい-D型-インフルエンザ(60分)

○堀本 泰介(東京大学大学院農学生命科学研究科・獣医微生物学研究室)

2011年、米国オクラホマ州の呼吸器疾患のブタから、新しいインフルエンザウイルスが分離された。ウイルスは既知のA~C型とは性質が異なり、新しいD型に分類された(2016年ICTV承認)。その後の米国における調査で、D型インフルエンザウイルスがウシ呼吸器病症候群(BRDC)の患畜から高頻度で検出されることから、本来はウシの病原体でありBRDCに関与する可能性が示された。呼吸器症状のウシのメタゲノム解析では様々なウイルスが検出されたが、統計学的に有意な関連性があるのはD型インフルエンザウイルスのみであったことから、現在の米国のBRDCに大きく関与していると考えられる。BRDCはストレスなどの環境要因下で、ウイルス感染から細菌の二次感染によって重症化する。米国のウシ死亡原因の第一位であり、わが国でも死因の多くを占める。したがって、BRDCの制御は畜産業、食肉産業における最重要課題の一つである。フランス、中国、イタリア等においても呼吸器疾患のウシやブタからD型インフルエンザウイルスが検出され、世界規模で侵淫していると考えられる。
私たちの調査によって、わが国でのD型インフルエンザウイルスの流行状況が明らかになってきた。これまでに北海道から鹿児島まで広い地域にかけてウイルスが流行していたこと(抗体陽性率30%)を報告した。また、呼吸器症状のウシからD型インフルエンザウイルス遺伝子を検出し外国株と遺伝的に異なること、さらに、日本株を初めて分離し抗原性が外国株と異なることを明らかにした。したがって、日本でもD型インフルエンザウイルスが広く侵淫しており、かつ日本で独自の進化を遂げてきたことが示唆される。米国等とは飼養形態・規模が異なるため、日本でもD型インフルエンザウイルス感染がBRDCの起因となるかは不明である。わが国のD型インフルエンザウイルスの感染実態をさらに調査し、BRDCとの関連性や日本株の性状を明らかにすることが必要である。本講演では、わが国におけるD型インフルエンザの疫学調査、日本株のウイルス性状について紹介する。