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水曜会(第713回)

情報公開日:2019年10月10日 (木曜日)

今回の水曜会は、新規採用職員による一般演題2題を予定しております。
参加者の事前登録は原則不要、当日参加も可能です。皆様の御来場をお待ちしております。

-水曜会幹事-

日時

令和元年10月23日(水)13:30~

場所

農研機構 動物衛生研究部門 管理棟2階大会議室
茨城県つくば市観音台3-1-5
TEL:029-838-7937/Fax:029-838-7907
(企画管理部企画連携室交流チーム)

内容

座長:山本 健久(農研機構 動物衛生研究部門)

豚抗酸菌症の集団発生事例における衛生対策と分子疫学調査(20分)

○澤井 宏太郎
(農研機構 動物衛生研究部門 ウイルス・疫学研究領域 疫学ユニット)

豚抗酸菌症は、主にMycobacterium avium subsp. hominissuis (MAH) による豚の慢性増殖性リンパ節炎である。生前診断は希で、食肉検査場での内臓検査において臓器の粟状結節性病変として摘発され、年間約2億円の経済的損害が生じている。しかし、生前診断が困難であること、菌分離に時間を要することから、本菌の病原性や感染様式ならびに詳細な分子疫学は不明である。また、MAHはヒトにおいて、近年患者数が増加している非結核性抗酸菌症の主要な原因菌でもあり、人獣共通感染症の観点からヒト由来株とブタ由来株での比較解析が求められている。私は今回、東海地方の一貫経営養豚農場から出荷された肥育豚において、2016年2月下旬より食肉検査における腸間膜リンパ節廃棄率が急激に上昇し、豚抗酸菌症の集団発生が疑われた。この事例に対して、衛生対策の実施、分子疫学による汚染源の同定および遺伝学的な比較解析を行ったので、報告する。

座長:石原 好仁(農研機構 動物衛生研究部門)

鯨類血中プロラクチン濃度測定方法の開発と飼育下鯨類におけるプロラクチン動態の検討(20分)

○川口 理恵
(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域 口蹄疫ユニット)

【目的】プロラクチン(PRL)は脳下垂体前葉から分泌されるペプチドホルモンで多様な生理作用を持つが、鯨類におけるPRLの役割は未解明である。鯨類では血中PRL測定法が確立されておらず、血中PRL測定法開発と血中動態の解析を試みた。 【材料と方法】水族館で飼育される4種類の鯨類を用いた。ラジオイムノアッセイ(RIA)法を用いて、標準品にヒツジPRL、標準抗原に125I標識ヒツジPRL、第一抗体に抗ヒトPRL抗体、第二抗体に抗ウサギγ-グロブリンヤギ血清を使用し、4種の鯨類血清を用いて、用量反応性を検討した。開発した系を用いて飼育下成体から得た血清中PRL濃度を測定した。鯨類生体組織よりウエスタンブロッティング(WB)法とRIA法によってPRLの検出を行った。
【結果と考察】鯨類の血清サンプルを本測定系に加えたところ、ヒツジPRL標準品からなる標準曲線と鯨類血中PRLの用量反応曲線の平行性が認められた。測定した血中PRL濃度の変化には平均値や変動幅に個体差が見られた。WB法では下垂体ホモジネート中のPRL分子量付近にバンドが検出された。抗ヒトPRL抗体が鯨類の血中および組織中のPRL検出に有用であることが明らかとなり、本測定系を用いることで鯨類血中PRL動態のモニタリングが可能となった。鯨類のPRL動態と機能解明の基盤を提供すると期待される。