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水曜会(第715回)

情報公開日:2020年1月23日 (木曜日)

今回の水曜会は、新規採用職員による一般演題2題を予定しております。
参加者の事前登録は原則不要、当日参加も可能です。皆様の御来場をお待ちしております。

-水曜会幹事-

日時

令和2年1月29日(水曜日)13:30~

場所

農研機構 動物衛生研究部門 管理棟2階大会議室
茨城県つくば市観音台3-1-5
TEL:029-838-7724/Fax:029-838-7907
(研究推進部研究推進室渉外チーム)

内容

座長:内田 裕子(農研機構 動物衛生研究部門)

膜透過ペプチド固定化高分子を用いた細胞内への遺伝子導入・発現効率の検討(20分)

○佐久間 咲希
(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域 インフルエンザユニット)

【背景・目的】現在、安全性と効率を追究した遺伝子導入法の基礎研究が盛んに行われている。我々は、遺伝子導入剤として使用できる可能性を持つ膜透過ペプチド固定化高分子VP-R8に着目した。これまでにVP-R8がペプチドやタンパク質を効率よく組織・細胞内へ導入することは報告されているが核酸の細胞内導入については未だ十分検討されていないため、VP-R8の遺伝子導入・発現効率を既知の遺伝子導入剤と比較・検討し、VP-R8の可能性を追求した。
【材料と方法】環状プラスミドpCMV-GFP-HAをVP-R8あるいは対照導入剤を用いて細胞に導入し、遺伝子一過性発現・安定発現を解析した。さらに1コロニーあたりの安定発現や、直鎖状プラスミドの安定発現についても解析した。GFP遺伝子発現は蛍光顕微鏡・FCMにより、薬剤耐性遺伝子発現はクリスタルバイオレット染色により解析した。
【結果・考察】 遺伝子安定発現効率はVP-R8が対照導入剤より高かった。またVP-R8はプラスミドの形状を問わず遺伝子安定発現を高効率に誘導し、プラスミドの形状の選択は発現量の調整を可能にすることが示唆された。VP-R8の優れた遺伝子安定発現能力は、安定細胞株樹立後の細胞・遺伝子機能解析や遺伝子治療に応用可能であることが期待される。

座長:吉岡 耕治(農研機構 動物衛生研究部門)

ネコ多発性嚢胞腎原因遺伝子の多型解析(20分)

○櫻井 玲奈
(農研機構 動物衛生研究部門 病態研究領域 繁殖障害ユニット)

【目的】ネコ多発性嚢胞腎(PKD)はペルシャ種に多くみられる常染色体優性遺伝性疾患である。これまでに原因の遺伝子変異が1か所(pkd1 Exon29 c.9864 C>A)のみ報告されている。しかし、形成される腎嚢胞や病態進行度など、個体ごとに違いがみられることから、上記以外にも遺伝子の変異箇所が存在すると考えられてきた。本研究では、原因遺伝子であるpkd1pkd2 翻訳領域の全長多型解析を行い、変異の有無と嚢胞形成および病態進行度との関連を解析した。
【材料と方法】岩手大学動物病院に提供された PKD 14 症例を I群(c.9864 C>A変異 + / 嚢胞 +;8例)およびII群(c.9864 C>A変異 − / 嚢胞 +;6例)に分類し、血液から抽出したDNAを用いてダイレクトシークエンスを実施した。また、対照群として健常ネコ(6例)の血液から抽出したDNAを用いた。PKD 症例については、病態進行度を「急速」および「緩徐」に分類し、検出された多型と病態進行度との関連性(影響度)は解析ツール(PROVEAN、SIFT)を用いて評価した。
【結果・考察】本研究により、ネコの pkd1pkd2 の翻訳領域全長の遺伝子多型を初めて明らかにした。すなわち、pkd1pkd2から既知の変異を含めた計87箇所のSNPが検出された。このうち35箇所はnonsynonymous SNP(ns SNP)であった。しかし、これらのns SNP多型と病態との間に明らかな関連性は認められず、非翻訳領域の解析と、タンパク質の高次構造への影響評価など、さらなる検討が必要であると考えられた。