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第211回つくば病理談話会演題

394) 豚のAE様病変を伴う出血性壊死性カタル性大腸炎[豚大腸菌症]

提出者(所属): 関口 真樹(千葉県中央家畜保健衛生所)

  • 動物種: 豚
  • 品種: 雑種
  • 性別: 雌
  • 年齢: 70日齢
  • 死・殺の別:鑑定殺
  • 解剖日:2016年9月9日
  • 解剖場所:千葉県中央家畜保健衛生所

発生状況および臨床所見

400頭飼養の肥育農場。3県から65日齢で導入。そのうち1県から導入した豚のみ、6月初旬から8月初旬にかけて、導入1週間後から食欲不振を呈し衰弱死することがあった。9月2日以降、前記の症状で、導入した60頭のうち9頭が死亡したため、生体1頭(No.1=提出症例)、死体2頭(No.2・3)の病性鑑定を実施した。アイブロシン、リンコマイシン、アモキシシリンを飼料添加しているが、発症後の治療は未実施。導入前にAD、App、マイコプラズマ、PCV2のワクチンを接種済み。

病原検査

No.1では、小腸上部から結腸にかけて非溶血性Escherichia coli(O8、O45、型別不能・eae保有)が多量に分離された。No.2では小腸上部から結腸および腸間膜リンパ節で非溶血性E. coli(型別不能・eae未保有)が中等量から多量に分離された。No.3では小腸上部から結腸および腸間膜リンパ節で非溶血性E. coli(O8、O139・eae保有)が多量に、β溶血性E. coli(O9、O147・STb・LT・F18保有)が少量から多量に分離された。No.1-3の盲腸と結腸から、Brachyspira hyodysenteriaeおよびB. pilosicoliの特異遺伝子は検出されなかった。

剖検所見

体温39.8°C。体重35kg。盲腸および結腸では、粘膜が肥厚し、出血部が多発。内容物は赤褐色粘液様。小腸では、内容物が黄色水様で固形物なし。胃では、粘膜のうっ血、噴門部に径1cmの出血を伴う突出部あり。No.2では盲腸と結腸の粘膜のうっ血。No.3は死後変化により消化管の判断不能。

組織所見(提出標本: 盲腸)

盲腸では、出血部以外で、丈が低く、微絨毛が消失した上皮細胞が塊状に散見され、この部位ではグラム陰性短桿菌の付着像がみられた(AE様病変)。出血部では、粘膜中層から浅層において中等度の壊死と出血、陰窩の拡張がみられた。陰窩腔にらせん菌は確認できなかった。いずれの部位でも粘膜固有層にリンパ球と形質細胞が軽度から中等度に浸潤していた。AE様病変は回盲部から直腸にかけて中等量から多量に認められた。十二指腸では、上皮に微絨毛の消失を伴わないグラム陰性桿菌の付着、空腸では、軽度のコクシジウム寄生、回腸では軽度のクリプトスポリジウム寄生、胃の噴門部では接合菌様真菌によるカタル性化膿性出血性炎が認められた。腎臓では、放線状に遠位尿細管の壊死と石灰沈着、近位尿細管の高度の空胞変性がみられた。大脳、間脳・中脳ではリンパ球と好中球から成る軽度から中等度の囲管性細胞浸潤が認められた。

討議

  • 出血とAE様病変との関連について、ご意見をいただきたい。

診断

  • 組織診断: 豚のAE様病変を伴う出血性壊死性カタル性大腸炎
  • 疾病診断: 豚大腸菌症
法人番号 7050005005207