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第212回つくば病理談話会演題

396) サルのStreptococcus equi subsp. zooepidemicusによる水腫を伴う線維素性胸膜炎および化膿性肺炎 [サルのStreptococcus equi subsp. zooepidemicus感染症]

提出者(所属): 北島 絵理子(埼玉県中央家畜保健衛生所)

  • 動物種: サル
  • 品種: ホンドザル
  • 性別: 雌
  • 年齢: 25歳
  • 死・殺の別:斃死
  • 解剖日:2015年12月4日
  • 解剖場所:展示施設

発生状況および臨床所見

県内展示施設で飼育されている48頭のホンドザルの群において、2015年12月2日から18日に元気消失、食欲不振等を呈し死亡した2~26歳齢の5頭について、病性鑑定を実施した。

病原検査

細菌学的検査では、提出症例の肝臓、脾臓、心臓からStreptococcus equi subsp. zooepidemicus(16S rRNA遺伝子のシークエンス解析、S. equi subsp. equiおよびS. equi subsp. zooepidemicusそれぞれに特徴的な遺伝子を標的としたPCRにより菌種同定)が分離された。その他の4頭の主要臓器からも本菌が分離された。ウイルス学的検査は未実施。

剖検所見

肺では暗赤色化、退縮不全がみられ、胸腔および腹腔内臓器に線維素様物の付着、大脳および小脳の髄膜に白色粘稠性物質付着が認められた。

組織所見(提出標本: 肺)

肺全体は中等度に充・うっ血、出血がみられ、肺胸膜は肥厚していた。肺胸膜には、重度に好中球やマクロファージの浸潤、線維素析出、水腫がみられ、肺胞腔内には中等度の好中球、マクロファージ浸潤、漿液貯留、血管壁の水腫、血管周囲に中等度の好中球浸潤が認められた。抗兎M-Like蛋白質SzPse血清(動衛研)および抗兎Streptococcus C群血清(Statens serum)を用いた免疫組織化学的検査では、肺の病変部のグラム陽性球菌と一致して、陽性反応が認められた。その他、心外膜、肝臓および脾臓の被膜において、中等度~重度の好中球、マクロファージの浸潤、線維素析出、大脳の髄膜において軽度の好中球、マクロファージの浸潤が認められた。

討議

細菌学的検査で肺から本菌は分離されなかったが、本菌による病変と考えてよいでしょうか。また、本感染症のご経験のある方、発生状況や組織病変についてご教授願います。

診断

  • 組織診断: サルのStreptococcus equi subsp. zooepidemicusによる水腫を伴う線維素性胸膜炎および化膿性肺炎
  • 疾病診断: サルのStreptococcus equi subsp. zooepidemicus感染症

397) コブハクチョウの肝臓におけるH5N6亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスによる多発性巣状壊死 [コブハクチョウのH5N6亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザ]

提出者(所属): 矢口 裕司(茨城県県北家畜保健衛生所)

  • 動物種: ハクチョウ
  • 品種: コブハクチョウ
  • 性別: 雄
  • 年齢: 不明
  • 死・殺の別:斃死
  • 解剖日:2016年12月13日
  • 解剖場所:茨城県県北家畜保健衛生所

発生状況および臨床所見

県内湖沼で2016年12月13日にコブハクチョウの死体が確認されたため、当所に鳥インフルエンザの検査依頼があった。この湖沼では、12月8日から12月22日までに34羽のコブハクチョウの死亡が確認され、そのうち30羽から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された。

病原検査

気管およびクロアカスワブについて、A型インフルエンザの簡易検査を実施したところ、気管とクロアカで陽性を確認した。気管およびクロアカスワブの発育鶏卵尿膜腔内接種では、A型インフルエンザウイルスが分離され、(国研)農研機構 動物衛研究部門でH5N6高病原性鳥インフルエンザウイルスと判定された。細菌検査は未実施。

剖検所見

肝臓では表面および割面に白点が多数みられた。膵臓では壊死および出血が多数みられた。腸管は暗赤色を呈し、粘膜面の出血がみられた。なお、提出症例以外の29羽の陽性個体のうち6羽について解剖を実施したところ、肝臓と膵臓の壊死病変がすべての個体で認められた。

組織所見(提出標本: 肝臓)

肝臓ではびまん性に巣状壊死が多発しており、一部では壊死巣が癒合し広範な壊死病変を形成していた。グリソン鞘や小葉中心静脈の血管壁および血管周囲では、リンパ球浸潤が認められた。壊死病変以外の領域では、肝細胞索が不明瞭となり、肝細胞の脂肪変性や淡緑黄色色素を貪食したクッパー細胞が認められた。膵臓ではびまん性に広範な巣状壊死が多数認められた。脾臓では巣状壊死および小血管壁の壊死が認められた。腸管では絨毛の壊死および出血が認められた。
抗A型インフルエンザウイルスマトリックス蛋白マウスモノクローナル抗体(LSBio社)を用いた免疫組織化学的検査では、肝臓・膵臓・脾臓・心臓の実質細胞、腸管・肺の血管内皮細胞、脳の神経細胞、眼瞼結膜上皮、羽軸や羽包上皮などで陽性反応が確認された。

討議

コブハクチョウでは肝臓と膵臓の壊死が高頻度で認められましたが、他県でのH5N6亜型高病原性鳥インフルエンザの感染野鳥および家きんの病変についてご教授願います。

診断

  • 組織診断: コブハクチョウの肝臓におけるH5N6亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスによる多発性巣状壊死
  • 疾病診断: コブハクチョウのH5N6亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザ
法人番号 7050005005207