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第216回つくば病理談話会演題

407) 牛のHistophilus somniによる小葉間結合組織の水腫性拡張が顕著な化膿性線維素性胸膜肺炎[ヒストフィルス・ソムニ感染症(肺炎型)]

  • 提出者(所属): 綿村 崇宏(千葉県中央家畜保健衛生所)
  • 動物種: 牛
  • 品種: 黒毛和種
  • 性別: 去勢
  • 年齢: 10カ月齢
  • 死・殺の別:死亡
  • 解剖日:2017年11月30日
  • 解剖場所:千葉県中央家畜保健衛生所

発生状況および臨床所見

黒毛和種400頭を飼養する肥育専門農場で、2017年11月17日に遠方の暖地から導入した10カ月齢の牛が、11月29日早朝に伏臥し口から泡を吹いた状態で確認され、間もなく死亡した。死亡前日まで当該牛に臨床的な異常はなく、治療はされていない。同ロットの他の牛に死亡はない。

病原検査

肺、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、脳、下顎リンパ節、鼠径リンパ節、気管気管支リンパ節(気管LN)からHistophilus somniが分離され、肺と気管LNからPasteurella multocidaが分離された。肺と気管LNを用いてMycoplasma bovisM. alkalescensM. bovirhinisM. dispar、牛RSウイルス、牛パラインフルエンザウイルス3型、牛ウイルス性下痢ウイルス、牛伝染性鼻気管炎ウイルスのPCR検査を行ったが、特異的遺伝子は検出されなかった。

剖検所見

肺は外表に黄色膠様物と線維素が高度に付着し、胸壁・横隔膜と癒着しており、小葉間結合組織でも同様の物質の貯留による拡張が全域でみられた。右肺では後葉の肝変化と後葉前~中部割面に米粒大の白斑が散見され、左肺は全体的に暗赤色を呈していた。気管LNと下顎リンパ節の腫大がみられた。黄色透明の心嚢水と胸水が貯留していた。

組織所見(提出標本: 右肺後葉)

肺胸膜には燕麦様細胞・好中球・マクロファージが高度に浸潤し、線維素が高度に析出していた。胸膜下と小葉間結合組織に高度の水腫性拡張がみられ、線維素が高度に析出、上記炎症細胞が軽度~中等度に浸潤し、多数の脈管が拡張していた。実質には細気管支から肺胞に至る化膿巣がみられた。当該部位では上記炎症細胞が細気管支内に充満し、さらに周囲組織に集簇巣が線維素を伴い散在していた。また、細気管支上皮の変性・剥離もみられた。その他の領域の肺胞には漿液が滲出していた。一部の血管には血管内皮細胞の核濃縮、血管壁の水腫、好中球とマクロファージの浸潤が認められた。肺胸膜・胸膜下・小葉間結合組織・実質の炎症細胞集簇巣にグラム陰性桿菌が認められ、抗H. somni家兎血清(千葉県)を用いた免疫組織化学的検査で陽性反応が認められた。
気管LNでは辺縁洞に線維素の析出を伴い好中球・マクロファージが高度に浸潤し、血液吸収がみられた。下顎リンパ節ではリンパ濾胞の中等度増生、出血、高度のうっ血がみられた。

討議

  • 他県でのヒストフィルス・ソムニ感染症(肺炎型)症例の剖検所見について御教授願います。
  • 本症例は胸膜下と小葉間の水腫性拡張が著しいが、血管病変による影響が大きいと考えてよいか。

診断

  • 組織診断: 牛のHistophilus somniによる小葉間結合組織の水腫性拡張が顕著な化膿性線維素性胸膜肺炎
  • 疾病診断: ヒストフィルス・ソムニ感染症(肺炎型)

408) 高齢採卵鶏の卵管腺癌[高齢採卵鶏の卵管腺癌]

  • 提出者(所属): 相馬 茉莉絵(JA全農 家畜衛生研究所)
  • 動物種: 採卵鶏
  • 品種: ジュリア
  • 性別: 雌
  • 年齢: 768日齢
  • 死・殺の別:と殺
  • 解剖日:2017年12月24日
  • 解剖場所:JA全農家畜衛生研究所

発生状況および臨床所見

当所にて採血用に飼養しており、ロット更新目的でと殺したうちの1羽。同時に4羽を解剖したが、その他3羽に同様の所見は確認されなかった。個別ケージで管理し、21羽が同居していた。

病原検査

腹腔内結節部を血液寒天培地にスタンプし培養したが、有意菌の増殖は観察されなかった。その他の病原検索は実施せず。

剖検所見

腹腔臓器(腸管、卵巣、卵管)の漿膜において、粟粒~米粒大、白色充実性の結節をび慢性に認め、特に十二指腸・膵臓間膜に多くの結節を観察した。
また、卵管膨大部の粘膜において、数ヶ所の乳頭状隆起を観察した。卵管峡部ならびに子宮部粘膜に著変は認めなかった。

組織所見(提出標本: 卵管と十二指腸・膵臓)

卵管膨大部粘膜の隆起組織では、管状腺様の腫瘍細胞が卵管粘膜の腺上皮細胞から連続するように増殖していた。腫瘍細胞は淡明な核を有し、細胞質にPAS反応陽性の分泌顆粒を含む細胞を認めた。十二指腸・膵臓でも同様に、十二指腸漿膜の境界部から膵臓の間膜にかけて、管状腺細胞の腫瘍性増殖を観察した。被膜はなく、周囲との境界は明瞭であった。
免疫染色では抗AE1/AE3抗体(Dako)にて一部の腫瘍細胞が陽性、抗Vimentin抗体および抗Desmin抗体(Dako)陰性、ウサギ抗鶏卵白リゾチーム血清(自家血清)にて、腫瘍細胞の細胞質内顆粒ならびに管腔の漿液が陽性であった。

討議

卵管粘膜から移行するような増殖像、ならびにウサギ抗鶏卵白リゾチーム血清の染色態度より、腫瘍細胞の由来を卵管の卵白分泌腺上皮細胞と考えているが良いか。

診断

  • 組織診断: 高齢採卵鶏の卵管腺癌
  • 疾病診断: 高齢採卵鶏の卵管腺癌
法人番号 7050005005207