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第217回つくば病理談話会演題

409) 豚の腎臓にみられた出血性梗塞[豚レンサ球菌症]

  • 提出者(所属): 小池 絵理子(埼玉県中央家畜保健衛生所)
  • 動物種: 豚
  • 品種: LWD
  • 性別: 雌
  • 年齢: 約60日齢
  • 死・殺の別:斃死
  • 解剖日:2017年10月17日
  • 解剖場所:埼玉県中央家畜保健衛生所

発生状況および臨床所見

繁殖豚47頭、肥育豚230頭を飼養する農場において、2017年10月13日~17日の間に、同腹の子豚が計3頭急死したため病性鑑定を依頼された。提出症例は、17日に斃死した個体である。

病原検査

細菌学的検査では、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、肺、脳、心嚢水、腹水、腸間膜リンパ節からStreptococcus suis(血清型2型)が分離された。ウイルス学的検査では、ペスチウイルス特異遺伝子は検出されなかった。

剖検所見

外貌検査では、左体側が暗赤色を呈していた。剖検では、腎臓の表面及び割面に粟粒大~小豆大黒色点の散在がみられた。肝臓は暗赤色、肺は暗赤色で水腫様、心臓は黄褐色透明の心嚢水が貯留していた。腹腔には黄褐色透明の腹水が貯留し、腸間膜リンパ節、下顎リンパ節、鼠径リンパ節は暗赤色であった。

組織所見(提出標本: 腎臓)

腎臓では、大部分の糸球体でボウマン嚢腔内の出血及び線維素の析出が顕著にみられ、一部でグラム陽性の球菌塊が認められた。また、中小動脈の血管壁のフィブリノイド変性、壊死、炎症細胞の浸潤、尿細管上皮細胞の変性および壊死、間質に顕著な出血が認められた。脾臓では、リンパ濾胞周囲に線維素が析出し、一部でリンパ球の脱落、核崩壊が認められた。大脳、小脳、延髄、脊髄では、髄膜に重度の好中球浸潤、線維素析出、一部で出血がみられた。肝臓では、肝細胞の空胞変性、小葉間結合組織の水腫性拡張、肺では、水腫、肺胞腔内の炎症細胞浸潤が認められた。

討議

豚レンサ球菌症について、同様の事例がありましたらご教示願います。

診断

  • 組織診断: 豚の腎臓にみられた出血性梗塞
  • 疾病診断: 豚レンサ球菌症

411) カラスの脾臓における多発性巣状壊死、リンパ濾胞壊死を伴う出血性壊死性全層性盲腸炎[カラスの脾臓における多発性巣状壊死、リンパ濾胞壊死を伴う出血性壊死性全層性盲腸炎]

  • 提出者(所属): 矢口 裕司(茨城県県北家畜保健衛生所)
  • 動物種: カラス
  • 品種: ハシブトガラス
  • 性別: 不明
  • 年齢: 不明
  • 死・殺の別:斃死
  • 解剖日:2017年12月20日
  • 解剖場所:茨城県県北家畜保健衛生所

発生状況および臨床所見

2017年12月19日から12月28日の間に、県内の同一市内で3か所にわたり合計147羽のカラスの死体が確認された。そのうち、16羽について原因究明のため病性鑑定を実施した。提出症例は、そのうちの1羽である。

病原検索

気管及びクロアカスワブについて、A型インフルエンザの簡易検査を実施したが陰性であった。気管及びクロアカスワブについて、発育鶏卵接種法を実施したが赤血球凝集能を有するウイルスは分離されなかった。細菌検査では、腸管からClostridium perfringens A 型が分離され、その菌量は空腸で108個 / g 以上、回腸で104個 / g 未満であった。また、脾臓及び回腸において増菌培養後、サルモネラ分離培養を実施したが、サルモネラ菌は分離されなかった。胃内容について、有機リン系農薬検出簡易検査を実施したが陰性であった。

剖検所見

外貌では、外傷等の異常はみられなかった。提出症例では、脾臓は著しく腫大していた。回腸及び盲腸は出血により暗赤色を呈し、血様の肉様便を容れて膨満していた。その他の死亡個体も含めて、脾臓腫大(15/16 羽)、回腸及び盲腸の出血(13/16 羽),肝臓の白点(6/16 羽)がみられた。

組織所見(提出標本: 脾臓・盲腸)

脾臓では、巣状壊死ないし塊状壊死が多数認められた。壊死部では出血、線維素析出、マクロファージの増殖が認められた。盲腸扁桃では、リンパ球は消失して濾胞は壊死しており、その内部には退廃物や偽好酸球を容れていた。回腸及び盲腸は粘膜上皮から固有層にかけて広範囲に壊死し、固有層には出血や偽好酸球の浸潤が認められた。管腔内には、多数のグラム陽性桿菌と共に、赤血球、退廃物及び線維素からなる偽膜形成が認められた。抗Clostridium spp ウサギポリクローナル抗体(Aviva Systems Biology社)を用いた免疫組織化学的検査では、回腸及び盲腸でみられたグラム陽性桿菌の一部と一致して陽性反応が認められたが、脾臓では陽性反応は確認されなかった。

討議

腸管病変はClostridium perfringens A 型の関与が疑われますが、菌量が少なく病変部への菌体の関与が鶏の典型例と異なるため診断に至りませんでした。脾臓の壊死病変と併せて考えられる原因についてご教授願います。

診断

  • 組織診断: カラスの脾臓における多発性巣状壊死、リンパ濾胞壊死を伴う出血性壊死性全層性盲腸炎
  • 疾病診断: カラスの脾臓における多発性巣状壊死、リンパ濾胞壊死を伴う出血性壊死性全層性盲腸炎