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第263回鶏病事例検討会 講演要旨

  • 開催日時: 平成23年12月16日(金曜日) 13時00分~17時00分
  • 場所: 農林水産技術会議事務局 筑波事務所本館2階、農林ホール
       茨城県つくば市観音台2-1-9 (http://sto.affrc.go.jp/)
  • プランナー: 真瀬昌司(農研機構 動物衛生研究所)
  • 司会者: 島野知二(埼玉県中央家畜保健衛生所)

テーマ: 鳥インフルエンザと衛生管理

1. 宮崎県における鳥インフルエンザの発生

齊藤幸恵 (宮崎県宮崎家畜保健衛生所)

平成22年度の冬期に全国で24例のHPAIが確認されたが、そのうち13例が宮崎県内での事例であった。これらは1月21日から3月5日に県央から県北にかけて発生し、飼養形態別では種鶏2例、採卵鶏1例、肉用鶏10例であった。また、10月から3月に県内で死亡した野鳥548羽よりHPAIウイルスの検出を行い、7例が陽性となった。陽性事例は、2月1日から18日に確認され、ハヤブサ3例、オシドリ3例、カイツブリ1例であった。今回、これらの県内の養鶏場および死亡野鳥で確認されたHPAIについて報告する。

2. 動物園飼育コブハクチョウで確認された高病原性鳥インフルエンザの防疫対応

水木亮史 (富山県西部家畜保健衛生所)

平成22年12月、高岡市の動物園が城址の堀で飼育のコブハクチョウが相次いで死亡した。検査の結果、1羽からH5N1亜型HPAIウイルスを分離した。市は、堀で飼育していた鳥類の自衛殺を決定、県に協力を依頼した。HPAI感染確認後、園内の消毒等の感染拡大防止対策、動物園から半径10kmを監視区域に設定、区域内の鳥類飼養場所の巡回と注意喚起、動物園死亡鳥及び野鳥の検査による監視等を継続した。結果、21日後に監視区域解除に至った。分離ウイルスは、平成22年度の国内分離株と極めて近縁であり、堀には越冬のため飛来する鳥種を確認した。本例は、動物園でHPAIを確認した初事例であり、対応基準がなく防疫に苦慮した。また、県民に対する正しい知識の普及啓発の必要性を感じた。

3. 平成22年度高病原性鳥インフルエンザの発生に係る疫学調査

筒井俊之 (農研機構 動物衛生研究所)

日本においては、近年3回のH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が確認されているが、昨年11月から今年の3月にかけて発生したHPAIはこれまでの発生と様相が異なっていた。過去2回の発生はいずれも西日本における4件の発生であったが、昨年から今年にかけて発生したHPAIは西日本にとどまらず中部、関東地域でも発生がみられ、全国の9県24戸の養鶏場で感染が確認された。昨シーズンに日本で多発した理由を明確に説明することは困難であるが、いくつかの可能性が考えられた。農林水産省が組織した疫学調査チームに参加し、調査分析した内容を報告する。

4. 高病原性鳥インフルエンザと野生動物

米田久美子 ((財)自然環境研究センター)

H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの日本への持ち込みには、渡り鳥などの野生鳥類の関与が疑われているが、それらの鳥類から鶏舎内の鶏への直接感染は考えにくく、人や物の移動で説明できない感染例も多い。そこで鶏舎周辺の野生動物について、鶏舎への出入りに注目して生息状況調査を実施した。その結果、環境・飼養条件の異なる3カ所の鶏舎において、日常的な出入りが確認された動物種(スズメ、イエネズミ類)及び鶏舎隣接部に生息する動物種には共通種が多く、それらは人工的な鶏舎環境に依存して生活する種と考えられた。特に自然界でエサの少なくなる冬期には鶏舎に動物が集まり、ウイルス等が鶏へ伝播される可能性が高くなると考えられた。

5. H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染実験におけるスズメおよびハトの病態

山本 佑 (農研機構 動物衛生研究所)

H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの国内への導入は渡り鳥の関与が疑われているが、渡り鳥が鶏舎に直接侵入する可能性は低い。このため、鶏舎にウイルスを持ち込む可能性のある経路の1つとして、国内の小型留鳥が指摘されている。我々は、スズメおよびハトに対して、国内で分離されたH5N1ウイルスを実験的に接種する感染試験を行い、臨床症状、病理所見、ウイルス排泄等に関する知見を得た。また、ウイルスを接種したスズメやハトが飼育されている陰圧アイソレーター内に、ウイルス非接種鶏を同居させる同居感染試験を行った。本講演では、これらの試験の結果について紹介する。

6. 鶏糞セラミックを用いたバイオセキュリティの強化

竹原一明 (東京農工大学)

現場で求められている化学的障壁(バイオセキュリティ強化資材)としては、1.長期的な待ち受け消毒に使用可能、2.有機物存在下でも十分効果を発揮、3.家畜・家禽に食用として給与でき、休薬期間を設けなくても良い、などの要件を満たす資材が望ましい。鶏糞・おから・食品残渣・牛糞等、未利用資源を還元焼結処理して得られる、炭素や窒素を含まない無機酸化物であるバイオセラミックスには、アルカリ度が高くなくとも、病原微生物等を不活化する抗微生物効果が認められており、一方、鶏ひなの成長試験から安全が確認され家きんの餌として承認を得ている。今回は、バイオセキュリティ強化資材として、鶏糞セラミックの現場での利用を含め紹介する。