花き研究所

2009年

2009年 12月
球根ベコニア(Begonia×tuberhybrida)

ベコニアはシュウカイドウ科に属し、熱帯から亜熱帯にかけて約2,000種が分布しています。形態的な変異が大きいので非常に多くの園芸品種があります。球根ベゴニアはアンデス山系の熱帯高地に自生する野生種の交配によって作出された球根を持つベコニアの総称で、主に各地で開園しているベゴニアガーデンなどで栽培されています。ベコニアの仲間は単性で雌雄同株です。つまり同じ株に雄花と雌花を着けます。八重咲きの場合、八重咲きの派手な花が雄花で、その近くで地味目に咲いているのが雌花です。

2009年 11月
ミセバヤ(見せばや)(Hylotelephium sieboldii)

ミセバヤはベンケイソウ科ムラサキベンケイソウ属(セダム属に分類している図鑑もあります)に分類される多肉性の宿根草。日本産の多肉植物で、古くから人家の庭や盆栽などに植えられていて、古典園芸植物の一つとして栽培されてきました。同じ仲間にヒダカミセバヤがありますが、花期がミセバヤより早いのと葉の付き方が、ミセバヤが3枚の輪生であるのにくらべて対生である点が異なっています。和名は「見せたい」という意味の古語が変化したもので、「誰に見せようか」という意味です。百人一首にも「みせばやな」で始まる歌があります。

2009年 10月
小菊(Chrysanthemum morifolium)

キクの野生品は存在しません、キクと言えば栽培されているものを指します。中国で1500年ほど前に交配によって生まれたとされています。日本では、薬草や観賞用植物として平安時代より用いられています。菊の栽培が盛んになったのは、江戸時代前期からで、江戸、伊勢、京都、熊本などで、育種が盛んに行われました。また、菊花壇、菊人形など様々な観賞方法も広まりました。各地で開催される菊花展では「大菊」が主に観賞されていますが、「小菊」の仲間には、西欧で発展した「洋ギク」と呼ばれるものがあり、写真の小菊は「クッションマム」と呼ばれる品種です。

2009年 9月
ツリフネソウ(Impatiens textorii)

ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年生草本、同じ仲間にホウセンカやインパチェンスなどがあります。霧が出たり夕立が多いこの高原では山地で見られるより明るい場所に自生しています。到着する頃には降っていた雨も止んでいて、雨上がりの中で咲いていました。この花が咲き出すと高原は夏の盛りが過ぎ、季節が秋へと進み始めます。和名の「釣船草」と英名の「Touch-me-not」の呼び名は、日本と西洋の名前の付け方で発想に違いのあることが良くわかります。それでは同じ仲間の「キツリフネ」はどうなっているのかと思ったら「Touch-me-not Balsam」で、両者は発想にそれほど差はないようです。でも、「キツリフネ」はツリフネソウの花色が黄色になっただけではありません。キツリフネには花の付き方や姿に、どことなく優雅でエレガントな雰囲気があります。

2009年 8月
ヒマワリ(Helianthus annuus)

キク科の1年草、北アメリカ原産で種実を食用やヒマワリ油を取るために栽培されています。属名の「Helianthus」は太陽の花の意味です。日本への渡来は、ヒマワリが記録に出てくるのが、江戸時代(1666)に出版された「絵入り百科事典」が最初で、寛文年間かそれ以前の頃と思われます。一般に花と呼んでいるところは、小さな花がたくさん集まった頭状花序と呼ばれる部分です。花壇や切り花用に様々な品種が出ていますが、「ゴッホのひまわり」、「モネのひまわり」、「マティスのひまわり」、「ゴーギャンのひまわり」等ヒマワリを描いた画家にちなんだ名前のヒマワリも販売されています。写真のヒマワリは、筒状花(芯の部分)が舌状花に代わった八重咲きと呼ばれる品種です。ゴッホも一重と八重のヒマワリを描いています。

2009年 7月
ヤブカンゾウ(ユリ科)

中国原産で、本州以南の日当たりの良い場所に生える多年草です。7月~8月 に、すっと伸びた茎の上に数輪の花を咲かせます。昔は町中でも線路際などによく見られ、ヤブカンゾウの花を見ると夏休みの到来を感じたものです。最近は線路際も整備されてきて、だんだんヤブカンゾウが見られなくなってきたのは寂しい限りですが、郊外に行くと、まだ野原などに群生しているのが見られます。

2009年 6月
ラベンダー(Lavender)

シソ科の小低木、ハーブとして一般によく知られています。ラベンダーの仲間にはいろいろな種類があり、様々な姿形をしたものがあります。花が咲く頃には各地でラベンダー園が開園して、いろいろな催し物が開催されています。高温多湿を嫌うので、北海道など夏に涼しい地方で育てるのが基本ですが、品種改良も進んでいて、日本の気候でも育てやすい品種もあります。園芸店などで、本州でも育てられる品種が市販されているため、家庭でも栽培が可能です。6月なので気分としてはアジサイですが月並みなのでラベンダーです。

バラ

バラ科バラ属の低木、5月はバラの季節です。日本では6月が梅雨のために5月にいろいろな花の季節が集中していますが、その中の代表的な花がバラです。園芸品種としてのバラは一般に広く普及しているのがモダンローズと呼ばれるバラで、1867年に発表された四季咲き品種がその始まりです。 現代では、これ以外にオールドローズやイングリッシュローズ等の様々なばらがホームセンタ等の身近な場所で購入できるようになりました。 今回は、ピンクのバラですが品種名は解りません。バラは嫌いではありませんが写真に撮るのは苦手です、花のイメージが何が何だかさっぱり解らないところがあり、イメージをつかむ以外にも、花のベストな状態が半日くらいで短く、撮影のタイミングを撮るのが難しいためです。だから今回は、使用したレンズの性能が良いことや、バラが立派なのが良くわかります。

2009年 4月
トルコギキョウ(Eustoma grandiflorum)

リンドウ科の多年草(2年草)、原産地は北アメリカのテキサス州の乾燥地帯です。我が国へは、昭和8年~10年ごろに輸入されました。品種改良が進んだ結果、今日では花形の変化や花色の変化が著しく、園芸品種の数も多くなっています。トルコギキョウの「トルコ」は、つぼみの形がイスラム教世界で使用されるターバンを連想させるためと言われていますが、特にトルコとの関係は不明です、「キキョウ」の名は、最初のころ、この花をキキョウ科と間違えていて付けた名前だそうです。このように和名は、原産地やリンドウ科と何の縁もない名前が付いています。また、別名として「リシアンサス」、「ユーストマ」とも呼ばれたりしています。しかし、新しい品種の多くは、キキョウともリンドウとも関係のない由緒不明の花形になっています。そのため、名前をたずねられたときは、手前のフリンジの付いてるのが「リシアンサス」、こちらの八重が「ユーストマ」、あちらの一重が「トルコギキョウ」ですと答えても良いのではと思っています。

2009年 3月
シュンラン(女雛)

ラン科Cymbidium属 の草本、日本各地に分布しています。野生株の中から得られた個体変異は、東洋蘭として栽培されています。洋ランに比べて東洋蘭の栽培の歴史は古く、中国の宋代に趙 時庚によって「金章蘭譜(1233)」、王 貴学によって「王氏蘭譜(1247)」という中国春蘭などの栽培について記述したものが出版されています。そして栽培書に記載されている蘭と同じ名前の蘭が、現在でも栽培されています。写真のシュンランは「女雛」と呼ばれ昭和45年に千葉県で採取されたものです。 なお、東洋蘭や洋ランの名称は日本独特の呼び名です。どことなく絵画における洋画と日本画の呼び方に繋がっているような気がします。

2009年 2月
ウメ

バラ科Prunus 属 の木本、花が咲く頃は各地で梅祭りが開かれる位、梅は、今では一般に広く知られていますが、原産地は中国と言われています。文献としての記載は、奈良時代の漢詩集「懐風藻」(751)の中に収録されている葛野王(かどののおおきみ705年没)の五言詩の中に出てくるのが最初だそうで、8世紀より以前には日本にすでに渡来していたものと考えられます。とりあわせの良いもののたとえに使われる「梅に鶯」のウグイスは、梅に来ることはなく、よく似たメジロが良く来ています。「松に鶴」も同樣に鶴ではなくコウノトリと言われており、日本画などに首を曲げて飛んでいる姿が描かれているのは、サギとの混同です。ちなみに葛野王の五言詩には鶯となっていて、この関係、結構奥が深い。

2009年 1月
シクラメン

サクラソウ科の多年草、原産地は地中海地方です。冬の代表的な鉢花で、日本に渡来したのは明治中期頃です。和名の「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」は、現地でその塊茎の形から「ブタのパン」を意味する言葉を訳したときに「まんじゅう」に変わりました。双子葉植物ですが発芽したときの現れる葉は1枚です。市販されているシクラメンは開花時期を調整して11月ごろには開花させています。本来は、栽培品種のもとになった野生種C.persicum(ペルシカム)の開花時期(2~4月)の頃になります。品種改良が進んだ今日では、花屋さんなどで、いろいろなタイプのシクラメンが販売されています。 私の知人で奥さんに毎年シクラメンの鉢植えを贈っている人がいます。なぜかしら私の方は、知り合いの奥さん達に鉢植えを送っています。