花き研究所

色素の基礎知識

植物の色を構成する4大色素

植物の葉や花の色は主にフラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルの4種類の色素により発現します。これらの色素は特定の波長の光を吸収し、残りの波長の光は反射する性質があります。反射した光の中で、人間の目で見える範囲の波長の光(可視光)が色として認識されます。例えば葉が緑色に見えるのは、葉に含まれているクロロフィルやカロテノイドが赤色や青色の光を吸収し、緑色や黄色の光を反射するからです。

フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルというのは、それぞれ構造が似通った化合物の総称です。それぞれのグループには数種類から数千種類炭素と炭素の結合が二重結合の場合(C=C)、紫外線の、構造がわずかに異なる化合物が含まれています。植物はこの数千種類の色素化合物のなかから、いくつかの色素を選んでその植物固有の色素組成をブレンドし、花弁の細胞に貯めることで、黄色、橙色、赤色、紫色、青色・・といった、それぞれの植物に特徴的な花色を創っています。

ここでは、植物の葉や花の色を構成する4大色素「フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィル」の性質について簡単に紹介します。

色素が発色するしくみ

光は様々な波長(注1)の電磁波の集まりです。異なった波長の光は、人間の目には異なった色として映ります。人間が色として認識できるのは可視領域の波長(380~780nm)の光です。可視領域よりも短い波長(紫外線)や長い波長(赤外線)の光は色として認識できません。アントシアニンカロテノイドは可視領域の光を反射するため、人間の目には色として認識されます。たとえばカロテノイドは400~600nm領域の紫~青~緑色の光を吸収します。可視光の中の残りの黄色~赤色の光は反射して人間の目に入り、色として認識されます。

注1)波長:波の2つのピークの距離を波長と呼びます。

電磁波(光)の波長
電磁波(光)の波長

炭素と炭素の結合が二重結合の場合(C=C)、紫外線を吸収します。共役二重結合(注2)を持つと、その長さ(数)に応じて吸収する光の波長がより長くなります。共役二重結合が5つ以上になると紫外線ではなく青い光を吸収するようになり、さらに長くなると緑色の光を吸収するようになります。吸収された残りの波長の光が反射し、人間の目に色として映ります。

カロテノイドの生合成において、フィトフルエン、ζ-カロテン、ニューロスポレン、リコペンと合成が進むにつれて共役二重結合の数が5個、7個、9個、11個と増えていきます。それにともなって、色が無色(フィトフルエン)から淡黄色(ζ-カロテン)、橙黄色(ニューロスポレン)、赤色(リコペン)へと変化します。生合成が進み両端に環が形成されると、共役二重結合を形成する電子の状態が変化し、光の吸収が短波長側へシフトします。その結果、カロテノイドの色は橙色(β-カロテン、β-クリプトキサンチン)、黄色(キサントフィル類)へと変化します。

アントシアニンはC環の酸素がオキソニウムカチオン構造(-H3O+)をとり、分子全体に共役二重結合がつながり発色します。ベタレイン、クロロフィルにも共役二重結合が存在し、発色を担っています。

注2)共役二重結合:二重結合(C=C)と単結合(C-C)が交互に連なった結合。二重結合をつくる電子(π電子)は単結合のところまで広がり実際には単結合と二重結合とが混じり合った中間的な状態になっています。

共役二重結合

アントシアニジンの基本構造
アントシアニジンの基本構造