花き研究所

主な成果

原著論文(2013年4月1日現在:花き研究所主体の研究のみ)

ペチュニア関連

ペチュニア Petunia axillaris

  • ペチュニアの香気成分発散機構について
    ペチュニアの野生種であるPetunia axillaris の花の香気成分の発散量と内生量を解析することにより、香気発散における生理的制御は、香気成分が気化する過程にはなく、生合成と代謝による内生量の調節によるものであることを明らかにしました。
    Emission Mechanism of Floral Scent in Petunia axillaris
    Biosci. Biotechnol. Biochem., 69 (4), 773-777 (2005)
  • Petunia axillaris亜種系統の香気成分多様性発生機構について
    異なる香気を持つPetunia axillaris の亜種系統の香気成分を解析することにより、花の香気成分の多様性は、個々の香気成分の生合成と発散比の変化によって生じることを明らかにしました。
    Floral Scent Diversity is Differently Expressed in Emitted and Endogenous Components in Petunia axillaris Lines
    Annals of Botany, 98, 1253-1259 (2006)
  • Petunia axillaris 亜種系統における香気成分代謝調節について
    Petunia axillarisの亜種系統の香気成分関連化合物を網羅的に解析し、ジヒドロコニフェリルアセテートを単離・同定しました。この化合物と香気成分イソオイゲノールの代謝の分岐が、Petunia axillaris 亜種系統の香気成分多様性を引き起こす要因の一つであることを明らかにしました。
    Metabolic Regulation of Floral Scent in Petunia axillaris Lines: Biosynthetic Relationship between Dihydroconiferyl Acetate and iso-Eugenol
    Biosci. Biotechnol. Biochem., 71 (2), 458-463 (2007)
  • 香気成分発散と温度の関係について
    異なる一定温度条件下で生育させたPetunia axillarisの香気成分発散量及び内生量を解析することにより、内生量は温度の上昇に伴い減少し、発散量は30度で最大値を示すこと、また30度以上では、高沸点側の香気成分量が増え、発散バランスが変化することを明らかにしました。
    Effects of Temperature on the Floral Scent emission and Endogenous Volatile Profile of Petunia axillaris.
    Biosci. Biotechnol. Biochem., 72(1), 110-115 (2008)
  • 香気成分生産のメタボローム解析について
    香気成分の昼夜リズムおよび香りの強弱を制御する生合成段階を明らかにするために、Petunia axillarisの強香系統と微香系統について花冠の代謝産物のメタボローム解析を行いました。ペチュニアの花における香気成分の昼夜変動は、糖の代謝段階で発生していることが明らかになりました。二つの系統の香りの強弱は、香気成分の生合成の初期の代謝段階で生じていることが示唆されました。
    Metabolome profiling of floral scent production in Petunia axillaris.
    Phytochemistry,  90, 37-42 (2013)

ユリ関連

カサブランカ  ユリ「カサブランカ」

  • ユリ「カサブランカ」の香気成分発散調節について
    オリエンタル系のユリの代表品種である 「カサブランカ」は甘く濃厚な芳香を持つために、大きく華やかな花様を持ちながら、匂いを嫌う場、例えば飲食店や結婚式など食事の場では敬遠されています。香りの強さを軽減すれば、ユリの需要拡大が期待されます。そこで「カサブランカ」の香気成分を精査し、その結果に基づき香気成分の生合成阻害剤を選択しました。その薬剤を「カサブランカ」の切り花に投与した結果、処理した「カサブランカ」の香気成分は無処理のものの1/4-1/8程度に減少しました。
    Control of Floral Scent Emission by Inhibitor of Phenylalanine Ammonia-lyase in Cut Flower of Lilium cv. ‘Casa Blanca’.
    J. Japan. Soc. Hort. Sci. 80(2), 190-199 (2011)
  • ユリの香りの嗜好について
    ユリとその香りの嗜好性を明らかにするために、成人男女に対するアンケートを用いた質問調査を行いました。ユリ切り花については良い印象がある一方で、その香りは他の香りと比べ嫌われる傾向が認められました。ユリ「カサブランカ」、「ソルボンヌ」および「シベリア」では、香り抑制剤処理によって香りを抑えることにより、無処理のユリと比較して嗜好性が高まりました。
    成人男女に対するユリの香りの嗜好調査.
    Bull. Natl. Inst. Flor. Sci. (花き研究所報告), 12:113-120 (2012)

カーネーション関連

kaori09

図 カーネーションと芳香性ナデシコ属野生種の雑種第1代

  • ナデシコ属野生種の香気成分について
    最近のカーネーションは、香りが少ない傾向があり、芳香を付与することで商品価値の向上が期待されます。芳香性のナデシコ属野生種は、交雑によってカーネーションに香りを導入するために有用な遺伝資源であると考えられることから、野生種の香気成分を解析し評価しました。その結果、野生種の香りは、芳香族化合物、テルペノイド、脂肪酸誘導体が主要な香気成分である3つのグループに分かれました。芳香族化合物やテルペノイドを多く作る野生種は、芳香が強く、カーネーションの交雑相手として適していると考えられます。
    Evaluation of Wild Dianthus Species as Genetic Resources for Fragrant Carnation Breeding Based on Their Floral Scent Composition.
    J. Japan. Soc. Hort. Sci. 80(2), 175-181 (2011)
  • 野生種との交雑によるカーネーションの香りの改変について
    切り花として用いられるカーネーションの香りは、主に安息香酸メチルかオイゲノールで占められており、香気成分の種類が限られています。日本に自生するカワラナデシコやその他のナデシコ属野生種とカーネーションを交雑することによって、その雑種第1代に、カーネーションには稀少なテルペノイド系や芳香族化合系の香りが導入されることが明らかになりました。これらの野生種は、芳香性カーネーションを作出するための育種素材として期待されます。
    Analysis of scents emitted from flowers of interspecific hybrids between Carnation and fragrant wild Dianthus species.
    J. Japan. Soc. Hort. Sci. 82(2), 145-153 (2013)

その他

ツバキ Camellia Iutchuensis

  • 芳香性ツバキ育種素材として有望なヒメサザンカ系統について
     沖縄産ヒメサザンカ野生種系統およびヒメサザンカを花粉親とする芳香性ツバキ品種の花の香気成分を解析しました。香りの質の良い系統は、花様の香調を持つ2-フェニルエタノール、フェニルアセトアルデヒドの割合の多いものであることを明らかにしました。
    ヒメサザンカ野生種系統および芳香性ツバキ品種の香気成分の比較
    園学研, 6(2), 183-187 (2007)
  • リューココリーネの花の香りについて
    南米チリ原産のリューココリーネは、多くの品種系統が存在し、近年、切り花としてポピュラーになりつつある花きです。桜餅やバニラを感じさせる個性的な香りを持つリューココリーネから、香りに特徴のある5種類を選び、花の発散香気成分を精査しました。
    リューココリーネの花の発散香気成分
    花き研報, 9: 137-142 (2009)
  • ニオイゼラニウムの葉の香りについて
    ニオイゼラニウムの品種は特徴的な芳香を持つ多くの系統が存在しています。葉の形や模様にバリエーションがあることから、最近は香りの楽しめる切り葉として市場に流通しつつあります。そこで流通品種から11種類を選び、葉の発散香気成分を精査しました。
    ニオイゼラニウムの葉の発散香気成分
      花き研報, 10: 55-63 (2010) 
  • ミントの葉の香りについて
    ミントには数多くの品種が存在しています。その切り葉は、他花材との相性の良さや香りが評価され、アレンジ素材として利用されつつあります。そこで流通品種の中から18種品種を選び、葉の発散香気成分を精査しました。さらに、香気成分組成と官能評価により、ミントの香りを1) cool-sweet、 2) cool-pungent、3) cool-bitter、4) cool-fruity、5) cool-citrus、6) sweet-citrus の6種類に分類しました。
    ミントの葉における発散香気成分の解析と分類
    Bull. Natl. Inst. Flor. Sci. (花き研究所報告), 12: 103-112 (2012)

学会発表(2013年4月1日現在:花き研究所主体の研究のみ)

  • 2013.03 ユリ野生種の香りに関する研究(第3報)スゲユリの香気成分の解析..園芸学研究 第12巻, 別冊1, p. 174
  • 2013.03 切り花カーネーションの発散香気成分組成とその経日的変化..園芸学研究第12巻, 別冊1, p. 173
  • 2013.09 チューリップの花の発散香気成分の解析と分類..園芸学研究第11巻, 別冊2, p. 280
  • 2013.09 ハボタン切り花の臭気成分の同定とその抑制剤の検討..園芸学研究第11巻, 別冊2, p. 279
  • 2012.03 ユリ野生種の香りに関する研究(第2報)ササユリの香気成分の解析. 園芸研 11(別1) p. 未定
  • 2012.03 カーネーションと芳香性ナデシコのF1雑種における芳香成分解析. 園芸研 11(別1) p. 未定
  • 2012.02 Chemical control technologies to maintain or increase qualities of cut flowers. The International Conference on Quality Management in Supply Chains of Ornamentals 2011
  • 2011.09 ペチュニア花冠の糖代謝遺伝子の発現は香気成分の昼夜リズムと同調的である. 園学研 10(別2) 285
  • 2011.09 ユリ野生種の香りに関する研究(第1報)ユリ園芸品種の成立に関わった野生種の香気成分の解析. 園学研 10(別2) 283
  • 2011.03 ニオイゼラニウムの発散香気成分. 園学研 10(別1) 460
  • 2011.03 ペチュニアの揮発性ベンゼノイド合成に関与する遺伝子の発現と代謝物の濃度の経時的な変化の違い. 第52会日本植物生理学会年会要旨集 171
  • 2010.12 Profiling the regulation of floral scent biosynthesis in Petunia axillaris by metabolome analysis. 2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies
  • 2010.09 強香性花きに対する香り抑制剤の効果. 園学研 9(別2) 256
  • 2010.09 Dianthus野生種における芳香性育種素材の探索. 園学研 9(別2) 253
  • 2010.09 CONTROL OF FLORAL SCENT BY AN INHIBITOR OF PHENYLALANINE AMMONIA-LYASE IN CASABLANCA. 2nd International Symposium on Genus Lilium
  • 2009.09 Dianthus野生種の花の香気成分解析. 園学研 8(別2) 187
  • 2009.03 フェニルアラニンアンモニアリアーゼ阻害剤によるユリ‘カサブランカ’の香りの抑制. 園学研 8(別1) 246
  • 2009.02 フェニルアラニンアンモニアリアーゼ阻害剤による花きの香りの抑制. 日本農薬学会第34回大会講演要旨集 107
  • 2008.09 メタボローム解析によるペチュニアの香気成分の生合成制御プロファイル. 園学研 7(別2) 322
  • 2008.03 ペチュニアの花の香気成分発散に与える温度と花弁表面構造の影響. 園学研 7(別1) 209
  • 2007.09 キクの花の香気成分. 園学研 6(別2) 316
  • 2007.06 Screening of Genetic Resource of Camellia lutchuensis for Fragrant Camellia Breeding;; Analysis of Floral Scent Compounds. VI International Symposium on New Floricultural Crops 71
  • 2006.09 Petunia axillarisの香気成分のリズムに与える生育温度の影響. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 75(2)  340
  • 2006.09 Various Profiles of Floral Scent in Petunia axillaris and their Generating Processes XXII EUCARPIA Symposium
  • 2006.07 Mechanism for Generating Floral Scent Diversity in Petunia axillaris IUPAC International Conference on Biodiversity and Natural Products (Pre-Symposium) 
  • 2006.03 Petunia axillarisにおける香気成分多様性の解明. 日本農芸化学会2006年度大会要旨集 183
  • 2006.03 ペチュニア(Petunia axillaris)の花の香気成分に与える生育温度の影響. 日本農芸化学会2006年度大会要旨集 168
  • 2006.03 ヒメサザンカの花の香気成分の系統間差異. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 75(1) 185
  • 2005.11 ペチュニア(Petunia axillaris)における新規香気成分の構造. 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会第49回大会講演要旨集 50-52
  • 2005.11 生育温度におけるペチュニア(Petunia axillaris)香気成分の変化 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会第49回大会講演要旨集 p. 15-17
  • 2005.10 Petunia axillaris系統間における香気成分の変異. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 74(2) 511
  • 2005.03 Petunia axillarisの花の香気成分に与える生育温度の影響. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 74(1) 364
  • 2005.03 カリブラコアにおける香気成分の昼夜リズム. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 74(1) 362
  • 2004.10 ペチュニア(Petunia axillaris)における香気成分発散リズムの制御. 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会第48回大会講演要旨集 204-206
  • 2004.09 カリブラコアにおける香気成分発散リズム 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 73(2) 483
  • 2003.10 ペチュニア(Petunia axillaris)における香気成分発散の日周性の解明. 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会第47回大会講演要旨集 46-48
  • 2003.09 ペチュニアにおける香気成分の生合成前駆体であるフェニルアラニンの昼夜リズム 園芸学会雑誌 別冊 園芸学会大会研究発表 72(2)  475
  • 2003.04 ペチュニアにおける香気成分の発散量と内生量のリズム. 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 72(1) 302
  • 2002.04 ペチュニア及びカリブラコアにおける香気成分の発散リズム 園学雑 別冊 園芸学会大会研究発表 71(1) 297
  • 2002.03 Rhythmic change of floral scent amounts in Petunia axillaris Gordon Research Conference (Ventura)

特許

花き用香り抑制剤(特許5062704号)

著書(2009年~)

  • 2013.02 ユリの香りの嗜好調査..最新農業技術花卉 5,237-239
  • 2012.10 ナデシコ属における花の香気成分の特徴 ―芳香性カーネーションの育種素材としての評価―. 植調 46,291-299
  • 2012.06 ユリの強い香りの抑制. 農耕と園芸 67(6) ,60-63
  • 2011.09 花の香りとの10年. におい・かおり環境学会誌 42(5) 337
  • 2011.06 ユリ「カサブランカ」の香りの抑制法. グリーンレポート(JA全農) 6, 14-15
  • 2011.05 植物の香り. RHSJ(英国王立協会日本支部) 5, 2-7
  • 2011.03 ユリ「カサブランカ」の強い香りの抑制. におい・かおり環境学会誌 42(2) 102-106
  • 2011.02 ユリの強い香りを抑制する方法. 植調 44(11) 421-426
  • 2010.07 花の色と香り 花の香りの化学的な制御法. 農林水産技術研究ジャーナル 33(6) 35-39
  • 2010.03 ユリの強い香りの抑制. 農業技術体系 花き編
  • 2010.03 ユリの強い香りの抑制. 農業技術体系 花き編
  • 2009.12 ツバキの芳香性育種のためのヒメサザンカ系統のスクリーニング-花の香気成分の解析-. 農園 84,1157-1160
  • 2009.11 ペチュニアを用いた花の香りの研究. アロマリサーチ 10(4) 378-382
  • 2009.11 ユリの香りの抑制法の開発. ブレインテクノニュース 136,19-21
  • 2009.9 香り選書 12 花の香りの秘密〈遺伝子情報から機能性まで〉. フレグランスジャーナル社 (静岡大渡辺教授と共著)
  • 2002.03 花の香気成分分子機構に関する最近の知見. 植物の生長調節 39(1) 85-96

講演など(2009年~)

  • 2012.02.13 ‘香り’について考えてみませんか. NHKラジオ第一放送・ラジオ井戸端会議 (大久保)
  • 2011.07.30 花の香りの役割とその制御. 第27回花卉懇談会セミナー (大久保)
  • 2011.07.3 花の香りの科学と利用. 日本大学植物資源科学特別講義 (大久保)
  • 2011.04.28 生きた花の香りを楽しむ. フレグランスジャーナル社 香りトワ・エ・モアセミナー (大久保)
  • 2011.01.11 香りをいかす花づくり. 花き新品種育成研修会(静岡県) (大久保)
  • 2010.02 香りをいかす花づくり. 平成21年度中国四国花き振興協議会 流通部会研修会(高知県)(大久保)
  • 2009.12 ユリの香りの抑制技術. 2009年度第4回農研機構産学官連携交流セミナー(農研機構)(大久保)
  • 2009.10.22 花はなぜにおう?. CBCラジオ・多田しげおの気分爽快!(大久保)

報道(2009年以降)

ユリの香り抑制に関する新聞記事

  • 共同通信(地方紙配信)(2009.6.25)
  • 毎日新聞朝刊25面(2009.6.25)
  •  日本経済新聞朝刊43面(2009.6.25)
  •  日本農業新聞16面(2009.6.25)
  •  日経産業新聞12面(2009.6.25)
  •  常陽新聞朝刊9面(2009.6.25)
  •  茨城新聞朝刊21面(2009.6.25)
  •  読売新聞朝刊2面(2009.6.28)
  •  フジサンケイビジネスアイ14面(2009.6.29)
  • 朝日新聞夕刊10面(2009.6.29)
  • 東京新聞夕刊8面(2009.6.29)
  • 化学新聞4面(2009.7.03)
  • 花卉園芸新聞1面(2009.7.15)
  • 化学工業日報9面(2011.08.08)
  • 日本農業新聞中四国版10面(2012.1.19)

ユリの香り抑制に関するテレビ報道

  • おはよう日本(NHK)(2009.6.29)
  • おはよう日本(NHK出演)(2009.07.13)
  • ワールドビジネスサテライト(TV東京)(2009.8.03)
  • NEWsモーニングサテライト(TV東京)(2009.8.17)
  • 農業・新たな可能性(韓国KBS)(2010.6.30)