花き研究所

切り花の品質保持技術の研究

担当者名:湯本弘子

研究目的

購入した切り花があっというまに枯れてしまったらがっかりすると思います。切り花が萎れる要因としては、エチレン、水あげ不良、栄養分の不足などが挙げられます。また、輸送中の温度や輸送形態も切り花の萎れる要因に影響します。
花き研究所では、切り花を長く楽しめるように、切り花の老化を遅延する薬剤処理や輸送保管技術を開発しています。

切り花の品質保持に関する研究

これまでに、バラ、トルコギキョウ、スイートピー、リンドウ、キンギョソウ、ブルースターといった切り花の品質保持技術の開発を行ってきました。現在は、グラジオラス、ダリア、チューリップなども研究対象としています。市場流通している切り花の数は非常に多く、老化生理や品質保持技術が明らかになっていないものは、まだまだあります。これからも、様々な切り花を対象とした品質保持研究に取り組んでいきたいと考えています。

切り花の保管技術に関する研究

何らかの気候変動により開花期が前進または遅延すると、市場に供給される切り花の量が過剰になったり不足したりします。このような生産量の変動は、取引価格の不安定化につながります。切り花を安定して供給するためには、一時的な保管も必要と考えて研究を開始しています。

主要な切り花の標準的な花持ち日数と後処理剤の利用

切り花は非常に多くの種類が流通しています。その中でも生産量が多い主要な切り花について標準的な花持ち日数を調査しました。試験は季節ごとに実施しており、輸送による影響や後処理の効果についても評価しています。
後処理剤とは、切り花を観賞するときに使用する薬剤です。生け水に加えて連続的に切り花に吸収させます。主な成分は糖と抗菌剤です。様々な品質保持剤メーカーから市販されており、花屋やスーパーの切り花コーナーで売られています。
切り花の種類によっては後処理剤を使用すると非常に長く観賞できます。バラは最後まで咲ききり(写真1)、トルコギキョウでは蕾から開花した花がきれいに着色します(写真2)。また、もともと花持ちが長いキクでも花が大きくなる効果があります(写真3)。

 スプレーバラ‘パリ’ 30°Cで保持した8日目の写真

写真1 スプレーバラ‘パリ’ 30℃で保持した8日目の写真 左;蒸留水,右;後処理剤(1%グルコース+抗菌剤)

 トルコギキョウ‘オホーツクの夏’ 30°Cで保持した9日目の写真

写真2 トルコギキョウ‘オホーツクの夏’ 30℃で保持した9日目の写真 左;蒸留水,右;後処理剤(1%グルコース+抗菌剤)

 輪ギク‘神馬’ 23°Cで保持した22日目の写真

写真3 輪ギク‘神馬’ 23℃で保持した22日目の写真 左;蒸留水,右;後処理剤(1%グルコース+抗菌剤)

花き研究所では2010年、2011年に後処理剤についてのアンケート調査を実施しました。その結果、55%の人が後処理剤(切り花長持ち剤)を知っていました。また、知っている人のうち68%が使用したことがありました。後処理剤の認知度を上げていけば、より利用する人も増えるのではないかと推測されました。