果樹研究所

品種育成・病害虫研究領域 ナシ・クリ品種育成研究ユニット

スタッフ

ユニットリーダー(上席研究員)

齋藤 寿広 (Toshihiro SAITO) 

主任研究員

加藤 秀憲 (Hidenori KATO)

高田 教臣 (Norio TAKADA)

研究員

西尾 聡悟 (Sogo NISHIO)

研究内容の紹介         

 ナシ・クリ品種育成ユニットでは、ナシとクリの品種育成(育種)を行っています。
 食べて美味しいのはもちろんですが、収穫時期や栽培のしやすさ、病気に強い等の特徴を兼ね備えた品種の育成を行っています。また、新しい品種を効率的に選抜できるような技術の開発も行っています。

ナシの品種育成

 受粉作業を必要としない自家和合性や、摘果作業の省力化につながる自家摘果性、また黒星病抵抗性を持つ良食味品種を育成することを育種目標に掲げ、交配、選抜を通じて、新しいナシ品種を育成しています。交配親には、育種目標により現在の栽培品種や当ユニットの育成系統、さらにはチュウゴクナシやセイヨウナシを利用しています。また、育種規模の拡大につながる幼苗段階でのDNAマーカー選抜も積極的に開発・活用しています。

最近の育成品種

良食味で栽培容易な晩生ニホンナシ新品種「甘太(かんた)」
良食味で栽培容易な晩生ニホンナシ
新品種「甘太(かんた)」
(2015年3月品種登録)

暖地で安定生産可能な良食味ニホンナシ新品種「凜夏(りんか)」
暖地で安定生産可能な良食味ニホンナシ
新品種「凜夏(りんか)」
(2015年3月品種登録)

クリの品種育成

 甘く、粉質で香りがあり食味が良いと同時に、易渋皮剥皮性(渋皮が剥がれやすい性質)を持ち商品性の高い品種を育成することを育種目標に掲げ、交配、選抜を通じて、新しいクリの品種を育成しています。特に、易渋皮剥皮性を持つニホングリは、早生品種である「ぽろたん」のみであるため、極早生から晩生までのすべての時期に易渋皮剥皮性を持つ品種を出すことに注力しています。クリの育種においても幼苗段階でのDNAマーカー選抜を積極的に活用しています。

美味しくて渋皮剥皮性が優れるクリ品種 「ぽろたん」

「ぽろたん」果実
「ぽろたん」果実

「ぽろたん」の渋皮剥皮性
「ぽろたん」の渋皮剥皮性

参考:技術紹介パンフレット、 ぽろたんの話

主要成果

原著論文

  • Nishio S., Yamada M., Takada N., Kato H., Onoue N., Sawamura Y. and Saito T. Environmental Variance and Broad-sense Heritability of Nut Traits in Japanese Chestnut Breeding.Hortscience. 49(6):696-700 (2014)
  • Nishio S. Iketani H. Fujii H. Yamamoto T. Terakami S. Takada N. and Saito T. Use of population structure and parentage analyses to elucidate the spread of native cultivars of Japanese chestnut. Tree Genetics & Genomes. 10:1171-1180 (2014)
  • Nishio S, Takada N, Yamamoto T, Terakami S, Hayashi T, Sawamura Y, Saito T : Mapping and pedigree analysis of the gene that controls the easy peel pellicle trait in Japanese chestnut (Castanea crenata Sieb. et Zucc.) : Tree Genetics & Genomes 9:723-730 (2012)
  • Nishio S, Yamamoto T, Terakami S, Sawamura Y, Takada N, Saito T : Novel genomic and EST-derived SSR markers in Japanese chestnuts : Scientia Horticulturae 130 (4), 838-846 (2011)
  • Nishio S, Yamada M, Sawamura Y, Takada N, Saito T : Environmental variance components of fruit ripening date as used in both phenotypic and marker-assisted selection in Japanese pear breeding : HortScience 46, 1540-1544 (2011)
  • Nishio S, Yamamoto T, Terakami S, Sawamura Y, Takada N, Saito T : Genetic diversity of Japanese chestnut cultivars assessed by SSR markers : Breeding. Sci. 61, 109-120 (2011)
  • 齋藤寿広・壽和夫・澤村豊・髙田教臣・平林利郎・佐藤明彦・正田守幸・寺井理治・西端豊英・樫村芳記・阿部和幸・西尾聡悟・木原武士・鈴 木勝征・内田誠.ニホングリ新品種'美玖里'.果樹研究所報告.19:1-9 (2015)
  • Saito T, Sato Y, Sawamura Y, Shoda M, Takasaki-Yasuda T, Kotobuki K : Dual recognition of S1 and S4 pistils by S4sm pollen in self incompatibility of Japanese pear (Pyrus pyrifolia Nakai) : Tree Genetics & Genomes 8, 689-694 (2012)
  • Takada N, Nishio S, Yamada M, Sawamura Y, Sato A, Hirabayashi T, Saito T: Inheritance of the Easy-peeling Pellicle Trait of Japanese Chestnut Cultivar Porotan : HortScience 47(7), 845-847 (2012)

特許

齋藤寿広・澤村豊・高田教臣・西尾聡悟・岩谷章夫(熊本県庁) : 良渋皮剥皮系ニホングリ品種の冷凍渋皮剥皮法 : 特許番号 特許第5429874号(25年12月13日)

成果情報

極早生で良食味のニホンナシ新品種「はつまる」(2014)

黒斑病・黒星病複合抵抗性を持つ良食味のニホンナシ新品種「ほしあかり」(2014)

ニホングリ在来品種の丹波地域から地方への伝搬の分子遺伝学的検証(2014)

ニホングリ品種「ぽろたん」の易渋皮剥皮性の遺伝様式(2012)

ナシの自家和合性S4smの花粉は、花柱のS1、S4双方と不和合性を示す(2012)

クリ「ぽろたん」の受粉樹には「美玖里」、「石鎚」、「岸根」、「利平ぐり」が適する(2011)

易渋皮剥皮性のクリ「ぽろたん」の渋皮の水溶性画分にはポリフェノールが少ない(2011)

クリの新規SSRマーカーの開発と遺伝資源の品種判別(2011)

プレスリリース

良食味で栽培容易な晩生ニホンナシ新品種「甘太(かんた)」(2013.12)

暖地で安定生産可能な良食味ニホンナシ新品種「凜夏(りんか)」(2013.12)

ニホングリは渋皮のむける遺伝子を隠し持っていた(2013.3)

その他参考資料

ニホンナシとクリの育成品種(全育成品種)

ナシ(日本なし)の育成品種

クリの育成品種

品種紹介パンフレット

果樹研究所育成品種カタログ(2015.5.1作成)

ぽろたんの話