果樹研究所

品種育成・病害虫研究領域 虫害研究ユニット

スタッフ

ユニットリーダー(主任研究員)

三代 浩二 (Koji MISHIRO)

上席研究員

土’田 聡 (Satoshi TODA)

主任研究員

中野 亮 (Ryo NAKANO)

研究内容の紹介

   ナシ、モモ、クリなどの果樹害虫を対象に、環境に負荷の少ない防除技術の開発を行っています。
化学農薬に過度に依存しない害虫防除には、対象害虫の生態を解明し、適期に適切な方法で防除を行うことや、害虫が多発しないような果樹園の環境を整備することが重要です。

土着天敵の活用

 

土着天敵には、ハダニ類に対するカブリダニ、ハダニヒメテントウ、ヒメハナカメムシなど、アブラムシ類に対するヒラタアブ、テントウムシなど、カイガラムシ類に対する寄生蜂など、果樹園内外には害虫の発生を抑制する能力のある土着天敵が知られています。これらを果樹園に定着させて害虫の発生量を低く抑えることを試みています。

ハダニの天敵たち
カブリダニ
カブリダニ

ハダニヒメテントウ幼虫
ハダニクロヒメテントウ幼虫

ハダニアザミウマ成虫
ハダニアザミウマ成虫


アブラムシの天敵

ヒラタアブ幼虫
ヒラタアブ幼虫

ナミテントウ成虫
ナミテントウ成虫

参考:技術紹介パンフレット、生物の多様性を維持する果樹・茶の管理技術

害虫の生態を活用した防除

モモノゴマダラノメイガはモモ、クリなどの害虫ですが、その交尾にはオスの発する超音波が関与していることがわかりました(成果情報:果樹害虫モモノゴマダラノメイガの交尾にはオスの発する超音波が必須である)。オスの発する超音波を利用した、防除技術の開発を行っています。

モモノゴマダラノメイガ

成虫
モモノゴマダラノメイガ成虫

クリ毬中の幼虫
クリ毬中の幼虫

遺伝子情報を活用する効率的な防除

重要な農業害虫のアブラムシやアザミウマには、同じ種の中でも、好適な餌植物や農薬に対する感受性が異なるタイプが存在する種がありますが、体のサイズも小さく、見た目では区別が付きません。もし、それらを素早く区別することが出来れば、適切な防除ができます。そこで、遺伝子の違いを調べることで、簡単に区別する方法を開発しています。

チャノキイロアザミウマ成虫
チャノキイロアザミウマ成虫

遺伝子による系統判別
遺伝子による系統判別

 

主要成果

原著論文

  • Nakano R, Takanashi T, Surlykke A : Moth hearing and sound communication : Journal of Comparative Physiology A 201, 111-121 (2015)
  • Nakano R, Ihara F, Mishiro K, Toyama M, Toda S : Double meaning of courtship song in a moth : Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Sciences 281, 20140840 (2014)
  • Nakano R, Ihara F, Mishiro K, Toyama M, Toda S : Confuser® MM can be used as an attractant to enable monitoring of the peach leafminer moth, Lyonetia clerkella (Lepidoptera: Lyonetiidae), in peach orchards treated with a mating disrupter : Applied Entomology and Zoology 49, 505-510 (2014)
  • Nakano R, Takanashi T, Surlykke A, Skals N, Ishikawa Y : Evolution of deceptive and true courtship songs in moths : Scientific Reports 3, 2003 (2013)
  • Nakano R, Nakagawa R, Tokimoto N, Okanoya K : Alarm call discrimination in a social rodent: adult but not juvenile degu calls induce high vigilance : Journal of Ethology 31, 115–121 (2013)
  • Nakano R, Ihara F, Mishiro K, Toyama M : Male courtship ultrasound produced by mesothoracic tymbal organs in the yellow peach moth Conogethes punctiferalis (Lepidoptera: Crambidae) : Applied Entomology and Zoology 47, 129-135 (2012)
  • Nakano R, Takanashi T, Ihara F, Mishiro K, Toyama M, Ishikawa Y : Ultrasonic courtship song of the yellow peach moth, Conogethes punctiferalis (Lepidoptera: Crambidae) : Applied Entomology and Zoology 47, 87-93 (2012)
  • 中野亮 : チョウ目害虫における超音波を用いた行動制御技術 : 植物防疫 66, 300–303 (2012)
  • Toda S, Hirose T, Kakiuchi K, Kodama H, KijimaK, Mochizuki M : Occurrence of a novel strain of Scirtothrips dorsalis (Thysanoptera: Thripidae) in Japan and development of its molecular diagnostic : Applied Entomology and Zoology 49, 231-239 (2014)
  • 竹内亮一・土田聡:PCR-RFLP法によるネギアザミウマの2生殖型の識別と鳥取県におけるネギアザミウマ産雄性単為生殖型の分布、日本応用動物昆虫学会報, 55, 254-257. (2011)

特許

中野亮 : チョウ目害虫の飛来を合成超音波で抑止する方法 : 出願番号 特願2013-251035 (審査請求中)

成果情報

 交信かく乱剤を設置したモモ圃場におけるモモハモグリガの発生消長調査法(2014)

遺伝子診断法によるチャノキイロアザミウマC系統の判別(2014)

モモノゴマダラノメイガが発する超音波はメスの交尾とオスの飛翔を制御する(2014)

 果樹害虫モモノゴマダラノメイガの交尾にはオスの発する超音波が必須である(2012)

その他参考資料

技術紹介パンフレット

生物の多様性を維持する果樹・茶の管理技術

臭化メチル剤の全廃に伴うクリシギゾウムシの代替防除技術について (未定稿 2014改訂版)

関連データベース

昆虫病原糸状菌データベース

リンゴ害虫生態画像データベース