果樹研究所

栽培・流通利用研究領域 栽培生理・土壌肥料研究ユニット

スタッフ

ユニットリーダー (上席研究員)

草塲 新之助(Shinnosuke KUSABA)

主任研究員

三谷 宣仁(Nobuhito MITANI)

井上 博道(Hiromichi INOUE)

立木 美保(Miho TATSUKI)

山根 崇嘉(Takayoshi YAMANE)

任期付研究員

松岡 かおり(Kaori MATSUOKA)

 

研究内容の紹介

ニホンナシ、モモの栽培生理研究、果樹の土壌肥料研究、落葉果樹の果実の成熟生理研究、果樹の放射線対策研究を行っています。

ニホンナシ、モモの果肉障害対策



ニホンナシ「あきづき」は、優れた食味と外観から普及が進んでいる新品種ですが、一部の産地においてコルク状果肉障害や水浸状果肉障害が発生し問題となっています。ニホンナシ「王秋」でも、コルク状果肉障害の発生が報告されています。また、モモの水浸状果肉褐変症は、大玉、高糖度といった商品価値の高い果実に発生が多いため産地で問題となっています。これら、ニホンナシ、モモの果肉障害について、障害発生抑制技術の開発を進めています。

 

あきづき_果肉障害

「あきづき」のコルク状果肉障害
A:果皮近くでの障害発生果実
B:障害発生果実の断面


モモ_果肉褐変症

モモ水浸状果肉褐変症

 

施肥作業の省力化

落葉果樹の施肥は、主に秋から冬の間に基肥を施用し、春から夏に追肥を2~3回、収穫後に礼肥を与えるのが一般的です。また、施肥量は樹の年間必要量を肥料のみで与えることを想定し、土壌あるいは堆肥などからの供給量をあまり考慮せずに決められているので、果樹にとって必要以上の量が施肥されています。そこで、施肥量を削減しつつ、施肥回数を減らし作業を省力化する施肥法について検討しています。

 

ナシの樹体ジョイント仕立てにおける春1回局所施肥法

ナシの樹体ジョイント仕立てにおける春1回局所施肥法

 

果実の成熟生理・老化抑制

果実は成熟期が近づくとエチレンなどの植物ホルモンの作用によって、酸が減少し、軟らかくなり、食べ頃を迎えます。これらの植物ホルモンは果実の成熟には必要ですが、収穫後は老化を加速させるために厄介ものとなります。そのために、植物ホルモン等の作用を調節して、果実の鮮度を保持する研究を進めています。

 

エチレン作用阻害剤1-MCPによる油上がりの抑制

エチレン作用阻害剤1-MCPによる油上がりの抑制_ジョナゴールド

ジョナゴールド

 果樹の放射線対策

東京電力福島第一原子力発電所事故により、周囲の樹園地が放射性物質により汚染されました。これまでの研究で、果実の放射性セシウム濃度は、土壌の放射性セシウムよりも早く、年ごとに急激に低下すること、土壌から樹体への吸収は非常に少ないことなどが分かってきました。現在、果実への放射性セシウム移行特性のさらなる解明、また、土壌からの放射性セシウムの吸収程度の解明などを進めています。

 

主要成果

原著論文

  • Hayama H. Water-Soaked Brown Flesh Disorders in Peach Fruit (Prunus persica (L.) Batsch) : JARQ. 49 (2), 91-95 (2015)
  • Hayama H, Iwatani A, Nishimoto T, Oya Y, Nakamura Y. Watercore : disorder in Japanese pear ‘Niitaka’ is increased by highfruit temperatures during fruit maturation : Sci. Hort. 175, 27-32 (2014)
  • 羽山裕子・立木美保・樫村芳記・中村ゆり:冷蔵期間および冷蔵後の保管温度がリンゴ‘ふじ’の果実品質に及ぼす影響 : 日本食品保蔵科学会誌 39(4), 183-187 (2013)
  • 羽山裕子・樫村芳記・阪本大輔・中村ゆり : リボン型製剤を用いたMA包装用段ボール箱内1-MCP処理がニホンナシおよびリンゴの日持ち性に及ぼす影響 : 日本食品保蔵科学会誌 38(1), 3-9 (2012)
  • 井上博道・梅宮善章・弦間洋・関達哉・柴田健一郎:ニホンナシの樹体ジョイント仕立てにおける樹体間の窒素移行 : 日本土壌肥料学雑誌 83, 658-663 (2012)
  • 井上博道・梅宮善章・草塲新之助・杉浦裕義:有機物長期連用ブドウ園地の土壌中全炭素濃度と全窒素濃度の経年変化 : 日本土壌肥料学雑誌 83, 687-690 (2012)
  • Kusaba S, Matsuoka K, Saito T, Kihou N, Hiraoka K: Changes in radiocesium concentration in a Japanese chestnut orchard following radioactive fallout : Soil Sci. Plant Nutr. 61(1),165-168 (2015)
  • Kusaba S, Matsuoka K, Abe K, Ajito H, Abe M, Kihou N, Hiraoka K : Changes in radiocesium concentration in a blueberry orchard resulting from radioactive fallout : Soil Sci. Plant Nutr. 61(1),169-173 (2015)
  • Mitani N, Kono A, Yamada M, Sato A, Kobayashi S, Ban Y, Ueno T, Shiraishi M, Kanzaki S, Tsujimoto T, Yonemori K : Practical marker-assisted selection using two SCAR markers for fruit astringency type in crosses of 'Taiten’ × PCNA cultivars in persimmon breeding : Scientia Horticulturae 170, 219-223 (2014)
  • Mitani N, Kono A, Yamada M, Sato A, Kobayashi S, Ban Y, Ueno T, Shiraishi M, Kanzaki S, Tsujimoto T, Yonemori K : Application of marker-assisted Selection in persommon breeding of PCNA offspring using SCAR markers among the population from the cross between non-PCNA ‘Taigetau’ and PCNA ‘Kanshu’ : HortScience 49(9), 1132-1135(2014)
  • Mitani N, Ban Y, Sato A, Kono A : Tetraploid table grape breeding in Japan : Acta Horticulturee 1046, 225-230(2014)
  • Tatsuki M, Nakajima N, Fujii H, Shimada T, Nakano M, Hayashi K, Hayama H, Yoshioka H, Nakamura Y : Increased levels of IAA are required for system 2 ethylene synthesis causing fruit softening in peach (Prunus persica (L). Batsch) : Journal of Experimental Botany 64, 1049-1059 (2013)
  • Yamane T : Folia calcium applications for controlling fruitdisorders and storage life in deciduous fruit trees : JARQ, 48(1), 29-33 (2014)
  • 山根崇嘉・柴山勝利・浜名洋二 :液肥の施用期間および環状はく皮がブドウ'安芸クイーン'の果実品質および樹の生育に及ぼす影響 : 日本ブドウ・ワイン学会誌 23(3), 125-133 (2012)

特許

立木美保・中嶋直子・嶋田幸久・山崎千秋 : 果実の鮮度保持剤: 出願番号 特願2013-008344 (審査請求中)

 

成果情報

収穫6~3週間前の果実周囲の温度上昇は「新高」のみつ症を助長する(2014)

オーキシンはモモの成熟後期における軟化を誘導する(2014)

フォールアウトを受けたクリ園における放射性セシウムの動態(2014)

フォールアウトを受けたブルーベリー園における放射性セシウムの動態(2014)

有機物長期連用ブドウ園地における土壌中全炭素の蓄積特性(2012)

ニホンナシの樹体ジョイント仕立てにおける樹体間の窒素移行(2012)

 

その他参考資料

技術紹介パンフレット

クリ凍害の危険度判定指標と対策技術マニュアル(2014.10)