果樹研究所

カンキツ研究領域 流通利用・機能性・栽培生理研究ユニット

スタッフ

ユニットリーダー(上席研究員)

杉浦 実 (Minoru SUGIURA)

主任研究員

喜多 正幸(Masayuki KITA)

松本 光 (Hikaru MATSUMOTO)

西川 芙美恵 (Fumie NISHIKAWA)

佐藤 景子 (Keiko SATO)

岩崎 光徳(Mitsunori IWASAKI)

研究内容の紹介

流通利用に関しては、カンキツを中心に、鮮度保持や食味向上を目指した収穫後の品質制御技術の開発を行っています。
機能性に関しては、カンキツに含有される成分と人の健康増進との関係について、研究を行っています。
栽培生理については、省力化や温暖化に対応する栽培技術の開発をおこなっています。

温州ミカンの最適貯蔵温度

貯蔵中のオルニチン含量の変化(果肉)
貯蔵中のオルニチン含量の変化(果肉)

温州ミカンの貯蔵温度は、腐敗の少なさ等の観点から、従来は3~5°Cが最適とされていました。しかし、収穫直後と貯蔵後の果実成分を分析してみると、5°Cではオルニチンなどのアミノ酸が急増して、低温障害のような異常代謝が起こりますが、それより温度の高い10°Cではそのような異常代謝が見られません。温州ミカン果実の風味や食味を上手に維持する最適温度は、5°Cより高く10°C以下の温度帯にあるようです。

ミカンとβ-クリプトキサンチン

ミカンの摂取がどのような生活習慣病の予防に役立つかを明らかにするため、ミカン産地(浜松市北区三ヶ日地区)の住民を対象にした栄養疫学調査を行っています。ミカンにはβ-クリプトキサンチンという成分(ビタミンAの作用も有する)が豊富に含まれ、ミカンをたくさん食べると血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高くなることを見いだしました。さらに、血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高い人では、飲酒・高血糖による肝機能障害のリスクが低い、骨粗鬆症の発症リスクが低い等を明らかにしました。本研究により、ミカン摂取量の増大と健康増進に寄与したいと思います。

 

血中β-クリプトキサンチン濃度が高いと骨粗鬆症の発症リスクが低い

血中β-クリプトキサンチン濃度が高いと骨粗鬆症の発症リスクが低い

 血中β-クリプトキサンチン濃度が高い人ほど生活習慣病のリスクが低い

血中β-クリプトキサンチン濃度が高い人ほど生活習慣病のリスクが低い

 

付加価値の高い果実加工品の開発

国産果実の消費を拡大するため、美味しく食べやすい果実加工品や果実に含まれる機能性成分を活かした加工品などの開発を目指した基盤的研究を推進しています。特に、酵素を利用して果実を剥皮する技術は、食感などに優れた付加価値の高い加工品を作出し得るものとして注目されていることから、様々な果実で利用できるよう改良を進めています。

カンキツの酸素剥皮工程と酸素剥皮果肉

酵素剥皮前後のカキ‘太秋’果実

主要成果

原著論文

  • Ikoma Y, Matsumoto H, Kato M : The characteristics of carotenoid biosynthesis in citrus fruit : JARQ 48, 9–16 (2014)
  • Matsumoto H, Ikoma Y : Effect of different postharvest temperatures on the accumulation of sugars, organic acids, and amino acids in the juice sacs of Satsuma mandarin (Citrus unshiu Marc.) : Journal of Agricultural and Food Chemistry 60, 9900-9909 (2012)
  • Sugiura M, Ogawa K, Yano M : Comparison of β-cryptoxanthin with β-carotene regarding the bioavailability and tissue distribution in its intact form in rats : Bioscience, Biotechnology and Biochemistry (In press)
  • Sugiura M, Ogawa K, Yano M : Absorption, storage and distribution of β-cryptoxanthin in rat after chronic administration of Japanese mandarin orange : Biological & Pharmaceutical Bulletin 36, 147-151 (2013)
  • Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y, Yano M : High serum carotenoids associated with lower risk for bone loss and osteoporosis in post-menopausal Japanese female subjects: Prospective cohort study : PLoS One 7, e52643 (2012)
  • Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y, Ando F, Shimokata H, Yano M : Dietary patterns of antioxidant vitamin and carotenoid intake associated with bone mineral density: Findings from post-menopausal Japanese female subjects : Osteoporosis International 22, 143-152 (2011)
  • 小川一紀・尾﨑嘉彦・杉浦 実 : ウンシュウミカン加工副産物の抽出物から溶媒への溶解性の差を利用してβ-クリプトキサンチンを精製する方法 : 日本食品科学工学会誌 60, 498-508 (2013)

 特許

  1. 小川一紀・尾崎嘉彦・片桐且元 : カロテノイド組成物の製造方法、高濃度カロテノイド組成物の製造方法、高純度遊離型カロテノイド組成物の製造方法、カロテノイド組成物、高濃度カロテノイド組成物、及び高純度遊離型カロテノイド組成物(特許 第5471824号)

 

成果情報

植物生長調節剤散布による早生及び中生ウンシュウミカンの浮皮軽減技術(2014)

β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経女性は骨粗しょう症になりにくい(2012)

 

プレスリリース

ウンシュウミカンに多く含まれるβ(ベータ)-クリプトキサンチンの血中濃度が高い人では2型糖尿病や非アルコール性肝機能異常症等の生活習慣病になりにくいことが明らかに-浜松市(三ヶ日町)における10年間の追跡調査から-(2016.3.23)

ウンシュウミカンに多いβ(ベータ)-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経女性は骨粗しょう症になりにくいことが明らかに(2012.12.22)

 

 

その他参考資料

技術紹介パンフレット

浮皮軽減のための技術情報(2014.12改訂版)

食品機能性評価マニュアル集第3集: 農林水産省補助事業: 食料産業クラスター展開事業

農業技術大系果樹編: 農山漁村文化協会(農文協)

機能性食品の安全性ガイドブック

Nutrition and Diet in Menopause: Springer Science+Business Media