果樹研究所

カンキツ研究領域 栽培生理研究ユニット(口之津)

スタッフ

ユニットリーダー(上席研究員)

深町 浩 (Hiroshi FUKAMACHI)

 

研究内容の紹介

カンキツ栽培に有用な、高品質果実生産の栽培管理指標の開発、花成分化機構の解明、果実障害の軽減、労力を2割、薬剤散布を5割削減する加工向け果実の省力管理方法などの技術開発を行っています。

高品質果実生産指標の開発

樹の乾燥程度の測定
TDRセンサーを使用して水分状態の測定の様子
TDRセンサーを使用して水分状態の測定の様子

早生ウンシュウミカン、「はれひめ」および早期収穫の「不知火(しらぬひ)」は、果実に果汁が蓄積し始める時期から約2ヶ月間、乾燥による適度な水分ストレスを樹体に与えることにより、効果的に高糖度の果実が生産できます。







果実品質に影響を及ぼす乾燥ストレス付与時期 

果実品質に影響を及ぼす乾燥ストレス付与時期

上段表の数値は相関係数、塗りつぶしは有意性(p<0.05)のあることを示します。下段表の増糖効果の異なる強度は、回帰直線の傾きの検定より有意差あり(p<0.05)。-は効果・影響なしと判定。早生ウンシュウミカンは「原口早生」を用いて2007と2010年のデータを使用し、「はれひめ」は2009~2010年、「不知火」は2008~2010年のデータを使用しました。z発表論文(岩崎ら,2012)の時期を修正し、y2010年のデータのみ使用しました。

花芽分化機構の解明

秋冬季において、ウンシュウミカンの発育枝では、着果により花芽分化に強く関与している カンキツFLOWERING LOCUS T (CiFT) 遺伝子の発現が抑えられ、この抑制効果は、着果量が多いほど、また、着果期間が長いほど強いことがわかりました。 

発育枝におけるCiFT発現量と葉面積あたりの収量(A)あるいは発芽節あたりの翌春の花芽数(B)との関連
それぞれの樹から11月(●)、12月(×)および1月(○)に発育枝を採取し、CiFT発現量をMGBTaqManプローブを用いて定量PCRを行いました
 

主要成果

原著論文

  • Nishikawa F : Regulation of floral induction in citrus : Journal of the Japanese Soceity for Horticultural Science 82(4), 283-292 (2013)
  • Nishikawa F, Iwasaki M, Fukamachi H, Endo T : Leaf removal suppresses citrus FLOWERING LOCUS T expression in satsuma mandarin : Bulletin of the NARO Institute of the Fruit Tree Science 15, 1-6 (2013)
  • Nishikawa F, Iwasaki M, Fukamachi H, Nonaka K, Imai A, Takishita F, Yano T, Endo T : Fruit Bearing Suppresses Citrus FLOWERING LOCUS T Expression in Vegetative Shoots of Satsuma Mandarin (Citrus unshiu Marc.) : Journal of the Japanese Soceity for Horticultural Science 81(1), 48-53 (2012)
  • Iwasaki M, Fukamachi H, Satoh K, Nesumi H, Yoshioka T : Development of Tree Vigor Prediction Method at an Early Stage Based on Stem Hydraulic Conductance of Seedlings in Citrus Rootstocks : Journal of the Japanese Soceity for Horticultural Science 80(4), 390-395 (2011)
  • 吉田純也・岩崎光徳(CA) : 根域に対する灌水域の割合がカンキツ樹の乾燥ストレスに及ぼす影響 : 園芸学研究  13(4), 335-341 (2014)
  • 岩崎光徳 : カンキツ樹におけるTDR法による樹体水分ストレス測定 : 農業機械学会誌  75(5), 284-288 (2013)
  • 岩崎光徳・深町浩・今井篤・平岡潔志・奥田均 : ウンシュウミカンと‘不知火’におけるTDR計を用いた枝内水分測定法の有用性と水管理法の検討 : 園芸学研究  11(3), 327-335 (2012)

 

成果情報

高糖度カンキツ果実生産に必要な乾燥による水分ストレス付与の時期(2012)

ウンシュウミカンにおいて着果による翌春の花芽数減少は発育枝のカンキツFLOWERING LOCUS Tの発現の抑制と密接に関連する(2011)

カンキツ台木の枝内水分通導性を利用した樹冠拡大能力の早期予測法(2011)

 

その他参考資料

果樹研究所ニュース No.37

果樹研究所ニュース No.28