果樹研究所

カンキツ研究領域 侵入病害虫研究ユニット(口之津)

スタッフ

ユニットリーダー(主任研究員)

井上 広光 (Hiromitsu INOUE) 

研究内容の紹介

カンキツグリーニング病とその媒介昆虫であるミカンキジラミを中心に、近年国内の日本ナシやビワで新規に発生が認められたチュウゴクナシキジラミやビワキジラミなど、侵入病害虫を対象に研究を行っています。

ミカンキジラミ個体群識別に有用な遺伝子マーカーの開発

侵入害虫の発生が認められた場合、「どこから侵入してきたか?」という問題に対する答えは害虫防除を考える上で非常に重要なヒントになります。
そこで南西諸島各地から採集したミカンキジラミ個体群の識別が可能なマイクロサテライトマーカーを開発するとともに、これら個体群を用いた集団遺伝学的解析を行っています。
解析により、ミカンキジラミの日本への侵入元の推定や世界的な分布拡散経路の推定が可能になるかもしれません。

ミカンキジラミによるカンキツグリーニング病の虫媒伝染様式

カンキツグリーニング病は、微小害虫ミカンキジラミによって媒介されるカンキツ類の重要病害です。
国内では奄美群島徳之島以南の南西諸島に分布し、世界的に分布と被害が拡大し続けています。
環境や健康への影響が大きい化学合成殺虫剤の使用量を最小限に抑えながら本病害の拡大を防止あるいは根絶するため、虫媒伝染の詳しい仕組みの解明や効果的な防除技術の開発に取り組んでいます。

果樹の侵入害虫キジラミ類の分類と生態

ナシの害虫チュウゴクナシキジラミやビワの新害虫ビワキジラミなど、近隣諸外国から侵入したとみられる果樹害虫キジラミ類の新規発生が国内で相次いでいます。
これらへの対応策を迅速に確立し、被害を最小限に抑えることを目的として、これら侵入害虫の正体を明らかにするほか、その分布や生態、被害の特徴などの解明に取り組んでいます。
また、これら微小な害虫を誰もが正しく見分けることができるように、形態的特徴による簡易な検索システムの整備や遺伝子診断法の開発なども行っています。

果樹の侵入害虫キジラミ類


チュウゴクナシキジラミ
チュウゴクナシキジラミ成虫


ビワキジラミ
ビワキジラミ成虫

主要成果

原著論文

  • Tomimura K, Inoue H, Iwanami T : Development of simple sequence repeat markers for the Japanese population of the Asian citrus psyllid, Diaphorina citri (Hemiptera: Psyllidae) : Applied Entomology and Zoology (in press)(2014), DOI 10.1007/s13355-014-0245-3 (2014)
  • Inoue H, Nakanishi T, Kaneda T : Cacopsylla biwa sp. nov. (Hemiptera: Psyllidae): a new pest of loquat Eriobotrya japonica (Rosaceae) in Japan: Applied Entomology and Zoology 49, 11-18 (2014)
  • 井上広光・口木文孝・井手洋一・三島重治:日本での発生が初めて確認されたチュウゴクナシキジラミCacopsylla chinensis (Yang & Li) : 日本応用動物昆虫学会誌 56, 111-113 (2012) 

成果情報

国内での発生が初めて確認されたチュウゴクナシキジラミ(2012)