果樹研究所

ブドウ・カキ研究領域 栽培生理研究ユニット

スタッフ

ユニットリーダー(上席研究員)

薬師寺 博 (Hiroshi YAKUSHIJI)

主任研究員

杉浦 裕義 (Hiroyoshi SUGIURA)

東 暁史 (Akifumi AZUMA)

研究員

山﨑 安津 (Atsu YAMASAKI)

研究内容の紹介

ブドウ・カキの生態的特性や生理機構を解明し、省力・軽労働化・高品質安定生産技術の開発を行っています。

ブドウでは、高温に伴う着色不良の機構解明ならびに対策技術の開発、管理作業の省力・軽労働化に貢献できる道具の開発、カキでは、栽培管理全体を省力化できるわい性台木の評価、結実管理の省力化および渋柿の効果的な脱渋方法の開発を目指しています。

カキのわい性台木利用による省力栽培

 カキは高木になりやすいため、高所作業での作業性や安全性の改善が求められています。本研究ユニットでは、わい性台木を利用して樹体をコンパクトにすることによる栽培管理の省力化と軽労働化を検討しています。また、緑枝挿し木など効率的な繁殖方法についても研究しています。

カキのわい性台木
カキのわい性台木
わい性台木樹 共台樹

 

ブドウ果実の着色機構の解明

LEDの夜間照射によるブドウの着色促進
LEDの夜間照射によるブドウの着色促進

近年の気候温暖化により、ブドウ果実の着色不良が大きな問題となっています。本研究ユニットでは、ブドウの着色機構を遺伝子レベルから解明し、果粒だけを培養して着色条件を評価する手法の開発や、夜間照射などにより温暖化に対応した着色向上技術の開発を行っています。また、着色関連DNAマーカーによる優良着色品種の早期選抜法開発への応用も進めています。

 

ブドウ果粒培養による着色評価試験
 低温条件  高温条件
ブドウ低温栽培光照射
光照射
ブドウ低温栽培遮光
遮光
ブドウ高温栽培光照射
光照射
ブドウ高温栽培遮光
遮光

ブドウ栽培管理の省力化

ブドウは果樹の中でも管理作業の多い樹種です。これらの作業の内、第1回ジベレリン処理の時に同時に花かす落としができる「花冠取り器」や、防鳥ネットを棚下で簡単に取り付けできる「保護ネット」を開発しています。

防鳥用果樹保護ネット
防鳥用果実保護ネット

ブドウ花冠取り器
ブドウ花冠取り器

カキの花芽抑制技術の開発

カキの着らい状況
カキの着らい状況

カキの大果生産には、果実数を減らすための摘らい(蕾)は必須作業ですが、多くの労力が必要なことから、その省力化が望まれています。そこで、植物生育調節剤の利用によって着蕾数を半減させ、摘らい作業を省力化する技術を開発しています。

 

 

カキの効率的な脱渋技術の開発

カキ「太天」は、農研機構果樹研究所で育成された大果の渋ガキ新品種です。本品種は、栽培しやすく多収性で、サクサクとした食感で食味に優れています。しかし、脱渋が容易でないことから、炭酸ガス脱渋(CTSD法)の最適温度を検討して、短期間で効果的に脱渋する技術の開発に取り組んでいます。また、9~10月に固形アルコールを樹上の果実に処理することによって、収穫期時に渋味がなくなる樹上脱渋法の改良にも取り組んでいます。

樹上脱渋法
 樹上脱渋法

炭酸ガス
炭酸ガスで脱渋した「太天」

主要成果

原著論文

  • Azuma A, Fujii H, Shimada T, Yakushiji H: Microarray analysis for the screening of genes inducible by light or low temperature in post-veraison grape berries: The Horticulture Journal 84(3), In press (2015)
  • Azuma A, Ban Y, Sato A, Kono A, Shiraishi M, Yakushiji H, Kobayashi S:MYB diplotypes at the color locus affect the ratios of tri/di-hydroxylated and methylated/non-methylated anthocyanins in grape berry skin:Tree Genetics & Genomes 11, 31 (2015)
  • Azuma A, Yakushiji H, Koshita Y, Kobayashi S : Flavonoid biosynthesis-related genes in grape skin are differentially regulated by temperature and light conditions : Planta 236, 1067-1080 (2012)
  • Azuma A, Ito A, Moriguchi T, Yakushiji H, Kobayashi S : Light emitting diode irradiation at night accelerates anthocyanin accumulation in grape skin : Acta Horticulturae 956, 341-347 (2012)
  • Azuma A, Udo Y, Sato A, Mitani N, Kono A, Ban Y, Yakushiji H, Koshita Y, Kobayashi S : Haplotype composition at the color locus is a major genetic determinant of skin color variation in Vitis ×labruscana grapes : Theoretical and Applied Genetics 122, 1427-1438 (2011)
  • 東 暁史・薬師寺 博・児下佳子 : 袋状ネットの利用による短梢せん定栽培ブドウの鳥獣害対策の省力化 : 園芸学研究 10, 55-60 (2011)
  • Yakushiji H, Sugiura H, Azuma A, Yamasaki A: Responses of water status and fruit quality of Japanese persimmon (Diospyros kaki) to drought stress: Acta Horticulturae 996, 265-270 (2013)
  • Yakushiji H, Morita T, Jikumaru S, Ikegami H, Azuma A, Koshita Y: Interspecific hybridization of fig (Ficus carica L.) and Ficus erecta Thunb., a source of Ceratocystis canker resistance: Euphytica 183, 39-47 (2012)
  • 薬師寺 博・山﨑安津・東 暁史・浦裕義 : 花冠取り器によるブドウ‘サンヴェルデ’のさび果軽減効果 : 園芸学研究 12, 51-56 (2013)
  • 山﨑安津・河野 淳・東 暁史・小林省藏・佐藤明彦・薬師寺 博 : 異なる脱渋処理がカキ‘太天’と‘太月’の脱渋性および有機酸含量に及ぼす影響 : 園芸学研究 11, 103-111(2012)

 特許

東 暁史・薬師寺博・児下佳子 : 果房や果実の保護方法、果房や果実の保護ネット : 特許番号 第5338064号

薬師寺 博・山﨑安津・小林省藏・東 暁史・杉浦裕義・佐藤明彦 : 八秋 : 品種登録 第23900号

成果情報

短期間の土壌乾燥ストレスがカキ果実の水分特性および果実品質に及ぼす影響(2014)

ブドウ花冠取り器によるさび果の軽減効果(2013)

イチジク株枯病抵抗性をもつイチジクとイヌビワの種間交雑体の獲得(2012)

成熟期ブドウ果粒への低温と光の同時処理は相乗的に果皮の着色を促進する(2012)

四倍体欧米雑種ブドウのMYBハプロタイプの構成と果皮色の関係(2011)

渋ガキ「太天」および「太月」脱渋特性(2011)