果樹研究所

酵素剥皮の紹介

カンキツとカキの酵素剥皮工程の相違点

酵素剥皮の成否は酵素液をいかにして果皮の内部に導入できるかにかかっています。カンキツの中でも、外皮の手むきが困難な品種では、外皮を物理的に傷付けすることが必須です。一方、カキでは、酵素処理の前に果実全体を短時間加熱することが必須です。傷付けと加熱は、異なる処理方法ですが、果皮内部に酵素液を導入する経路を確保するための重要な処理である点では共通しています。

カンキツとカキの酵素剥皮工程の相違点

カキで加熱処理が必須な理由

加熱による前処理には二つの効果があります。

一つ目は果皮の一番外側にあるクチクラ層の物理的な破壊効果です。クチクラ層は水をはじきやすく、さらに、酵素的に分解しにくいです。クチクラ層は膜状に果実全体を覆っていて果実の防御壁として働いていますが、加熱処理はクチクラ層に亀裂を発生させ、果皮の内側へ酵素液を容易に導入させることができます。

二つ目はペクチナーゼ等の酵素の働きを阻害してしまう物質の働きを抑える効果です。カキはペクチナーゼの働きを邪魔するPGIP(Polygalacturonase-inhibiting protein)というタンパク質を果皮や果肉中に含んでいます。したがって、酵素を果皮に導入できても、この阻害因子のために、導入した酵素が働きにくいという問題がありました。しかし、タンパク質であるPGIPは加熱により失活する(働かなくなる)ため、導入した酵素を効率的に作用させることができます。

このように、加熱処理には酵素液の導入経路の確保と酵素作用を阻害するタンパク質の働きを抑えるという2つの効果があります。

カンキツの内皮の処理について

カンキツの内皮をどのように分離除去するかは、内皮の厚さによって異なります。内皮が薄い場合、内皮は手でつまむのが困難なので酵素処理で分解して除去します。一方、内皮が厚い場合、内皮は酵素処理で分解するには時間がかかり、また、手でつまみやすいので、手作業で剥がして除去します。

 

内皮の厚さと処理の相関関係
カンキツの内皮の厚さと処理の相関関係 


内皮の厚さによる処理工程の違い
カンキツの内皮の厚さによる処理工程の違い