果樹研究所

ブンタンの酵素剥皮の工程

外皮の手むきが困難なカンキツ品種

カンキツの果実の外皮は、品種により厚さと硬さがさまざまです。外皮が厚く硬いため、手むきが困難なカンキツ品種の場合、まず外皮を酵素処理で軟化させ分離した後、続いて内皮を手むきが容易なカンキツ品種と同様に酵素処理で除去します。

 <手むきが困難なカンキツ品種>

外皮への切れ込み

  • ブンタン

  • グレープフルーツ

  • オレンジ

  • レモン

  • アマナツ

  • ハッサク

  • 清見

  • スイートスプリング

酵素処理は外皮と内皮への二段階

外皮への切れ込み

(1) 外皮への切れ込み

カンキツの果実を単に酵素液に浸しただけでは、皮を剥くことができません。外皮が水をしっかりと弾いてしまうため、酵素液が果皮に全くしみ込むことができないからです。そこで、外皮に酵素液を導入できる経路を確保するために、外皮の表面に物理的な傷付けをします。具体的には、果肉を傷付けない深さで、刀状の道具で部分的に外皮の表面を削り、切れ込みを付ける、または、千枚通しや剣山のような針状の道具で果実全体に刺し穴を付けます。

<写真は水晶文旦、以下同様。>  

 

真空含浸の前処理

(2) 真空含浸の前処理

外皮に傷付けした後、酵素液に浸しただけでは酵素液がなかなか外皮の内部にしみ込んでいきません。そこで、酵素液を短時間でしみ込ませる処理をします。まず、果実が酵素液に浸かっている状態で容器ごと、真空デシケーター等の密閉可能な容器に移します。

 

重しを果実の上部に

果実が完全に水没するよう、重しを果実の上部にのせます。
 

真空含浸

(3) 真空含浸

密閉容器内を真空ポンプで脱気して、真空に近い状態にします。外皮の白い綿状の部分の空気が果実から抜け、酵素液に浸かっているカンキツ果実から泡がぶくぶくと出てきます。泡が出なくなった後、密閉空間を通常の気圧に戻します。

 

透き通ったような外観に変化

こうすることで、酵素液が外皮内部に一気にしみ込み、白い綿状の部分が酵素液で満たされ、透き通ったような外観に変化します。
 

外皮の分離

(4) 外皮の分離

果実を酵素液から引き上げ、室温で一定時間置き、酵素反応を進めます。

 

外皮が軟化

酵素処理が進むと、ブンタンのように外皮が強固なカンキツでも、外皮が軟化し、外皮を崩すように力を必要とすることなく分離できます。
 

果肉の分離

(5) 果肉の分離

手作業で身割り(ホロ割り)して、一房ごとに分けます。カンキツの品種により、この段階で内皮(じょうのう膜)まで分離することが可能です。一度の酵素処理だけで外皮と内皮の両方の分離ができない場合は、分離した房をもう一度酵素液に漬け、内皮を酵素で溶かす処理をします。

 

水晶文旦

 外皮の手むきが困難なカンキツ品種の剥皮例

品種名
メイポメロ

品種名
紅まどか