果樹研究所

カキの酵素剥皮の工程

溶液での処理のみのカキの酵素剥皮工程

カキの酵素剥皮工程

カキの酵素剥皮工程はこれまでに複数開発され、特許化または特許出願されています。ここでは、全ての処理が溶液での処理のみからなる工程を紹介します。この工程は4つの処理を連続的に行うもので、色々な品種で幅広く酵素剥皮ができるようにするため、酵素処理の前に化学的処理と物理的処理を行います。

カキの酵素剥皮工程

溶液での処理のみのカキの酵素剥皮工程の詳細

カキの酵素剥皮工程1

(1) 果皮成分への化学的処理

カキの酵素剥皮工程では、酵素処理の前に果実全体に加熱処理を行うことが必須です。この加熱処理で果皮表面に亀裂を発生しやすくするため、果皮のクチクラ成分への化学的な処理により、果皮の強度を低下させておきます。具体的には、食品用乳化剤の水溶液に果実全体を一晩浸漬します。この処理で、果皮の表面に亀裂の前段階の小さなシワが生じることがあります。なお、加熱で果皮に亀裂が生じやすい品種では、この処理は省略することが可能です。

 

カキの酵素剥皮工程2

(2) 果実全体への加熱処理

果実全体を沸騰水で短時間(30秒~1分程度)加熱した後、直ちに、氷水で冷却します。これは、熱が果肉に与える影響を最小限に抑えつつ、果実の最外層を限定的に加熱する効果があります。この処理で、果皮に亀裂が多数発生します。これと同時に、ペクチナーゼの働きを邪魔するPGIP(Polygalacturonase-inhibiting protein)というタンパク質が失活します。

 

カキの酵素剥皮工程3

(3) 果皮組織への酵素処理

加熱処理がすんだ果実を酵素液に浸漬します。果皮表面の亀裂から酵素液が果皮内部にしみこみ、酵素反応の進行により、果皮組織が分解されます。

この工程は温めながらの加温処理と冷やしながらの低温処理の両方が可能です。カキをどのような加工品にするかによって使い分けます。例えば、干し柿加工であれば、フレッシュな香り(フレーバー)は品質としてあまり重要な要素ではないので、加熱しながら短時間処理します。一方、カットフルーツ加工であれば、フレッシュな香り(フレーバー)を維持するため、冷やしながら長時間処理します。

 

カキの酵素剥皮工程3

(4) 果皮組織の洗浄除去

果皮表面を流水下で擦ることで、崩壊した果皮組織を洗浄除去した後、表面の水分を拭取り、剥皮が完成します。