北海道農業研究センター

土壌管理グループ

アーバスキュラー菌根菌の新染色方法を開発
(左:新染色法、右:従来法)

北海道の大規模畑作や水田営農システムにおける土壌管理に関する研究を行っています。近年の大規模化では、さらなる省力化に加えて、収量や品質の安定した栽培システムとしてその体系を確立することが望まれています。そのためには圃場の作物生産性を判断して安定生産を維持する土壌管理処方箋が必要です。このような処方箋をシステマティックに提示する新しい土壌診断技術の開発に取り組んでいます。作物の安定生産を維持する土壌管理技術としては、土壌に生息する共生微生物の活用に着目しています。また、農耕地からの環境負荷を低減するための技術開発も行っています。

大規模畑作・水田輪作体系における省力・安定生産を支援するための土壌管理・診断技術の開発

北海道農耕地の作物生産性の差異について実態調査を行っています。圃場ごとに収量差を引き起こす要因は多様であって解明が難しい圃場も少なくありません。小麦と大豆の生産性と土壌特性の現地実態調査から、これら作物の生産性を評価できる新しい土壌評価技術の開発を目指しています。土壌診断法簡易化のための個別技術の開発にも取り組んでいます。

アーバスキュラー菌根菌(AM菌)を利用した省資源安定生産技術の開発

アーバスキュラー菌根菌は作物のリン酸をはじめとする様々な養分の吸収を助ける共生微生物です。AM菌宿主作物の栽培跡地ではAM菌密度が高まり、次作物のリン酸吸収が促進されることから、特に大豆栽培ではリン酸減肥栽培が可能であることを実証してきました。現在は、さらに発展させて事前にAM菌感染程度を予測して施肥削減程度を調整できる、より精密なリン酸減肥技術の開発を目指しています。AM菌利用のための基礎研究も行っています(図)。

農耕地における温暖化緩和技術の開発

農耕地の土壌からは、温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素が大気中に排出されています。水田および畑地土壌から排出される温室効果ガスを削減する技術(温暖化緩和技術)を北海道のような寒冷地に適した技術として開発するとともに、その技術の普及を目指しています。温暖化緩和技術と農業現場の強化とを両立させるための研究も行っています。

メンバー