国際活動

第1回NARO食と健康の国際シンポジウムで、日本発のリーダーシップを発揮

1. 会議名

第1回NARO食と健康の国際シンポジウム「「食」の研究を世界の市場へ」
NARO 1st International Symposium on Food and Health "Food Science to Market, from Local to Global"

2. 日時

2022(令和4)年 3月1日(火曜日)14時00分~17時18分(日本時間)
        3月2日(水曜日)14時00分~17時15分(日本時間)

3. 場所

オンライン開催
(配信会場:農研機構食と農の科学館オリエンテーションルーム)

4. 主催・後援

農研機構(主催)、農林水産省・ワーヘニンゲン大学研究センター(WUR)・フランス国立農業研究所(INRAE)・オランダ王国大使館・在日フランス大使館科学技術部・Foodvalley NL・Vitagora(後援)

5. 参加者

事前参加登録者は24の国・地域等から1,103名(国内外内訳:国内80%、国外20%. セクター内訳:企業42%、教育・研究19%、行政7%、農研機構11%、個人その他21%.)
当日の参加者は、3月1日は663名、3月2日は476名(13の国・地域から)。
アーカイブ配信(3月4日-3月31日)アクセス数(4セッション合計):879。

6. シンポジウムの概要

【開会】

農研機構 久間理事長から、農業・食品分野における「Society5.0」実現のための重要な課題である「食による健康増進」について、本シンポジウムが国内外の産学官連携のスタートとなるようにと期待するという主催者挨拶がありました。後援機関のワーヘニンゲン大学研究センター(WUR)Fresco総長、フランス国立農業研究所(INRAE)Mauguin理事長および農林水産技術会議事務局 青山事務局長から、本シンポジウムが時期を得たものであり、成果に期待するという挨拶を頂きました。

【基調講演】

4名の各研究分野を代表する研究者より、①「食と健康」における国際機関による国際イニシアチブ、②基礎研究から市場展開に向けた機能性食品開発、③日本を代表する一食品企業の「食と健康の課題解決」に向けた取り組み、④世界の食と健康の発展に向けた科学を超えて必要な視点について基調講演が行われました。

【セッション】「栄養・健康」(セッションリーダー:NARO/亀山所長)

本セッションでは、国際的に食によるヘルスプロモーションに注目が集まるトレンドのなかで、健康増進機能のメカニズム研究や個々人への健康的な食事情報の提示効果など、栄養管理のイノベーションを通して「食による健康長寿」を目指す最先端の研究が紹介されました。討論では、健康栄養性が高く付加価値のある農産物・食品、さらには健康的な献立への置換えプログラム、データに基づく個人的アドバイスの提供とともに、社会の多様なステークホルダが連携して、健康的な食生活のメリットを広く伝え、おいしさや利便性、価格について考慮し、消極的な消費者が自発的に健康的な食生活を選択するよう後押しが必要であることが示されました。

【セッション】「豊かな食と健康を支える作物開発」(セッションリーダー: NARO/田口上級研究員)

本セッションでは、人口増加および気候変動で不確実性が増す21世紀の農業生産に対し、ゲノム情報、ICT等に関する最先端の研究によってどのような最適解を導くことができるのかというテーマで講演・討論が行われ、先端技術の適用範囲、将来的な見通し、育種技術のイノベーションにより農業生産にかかる問題を乗り切る作物開発の戦略が示されました。この分野ではイノベーションが次々と起こっており、生産性が高く高栄養的な作物開発を加速することが示されました。

【セッション】「科学からビジネスへ―食品科学から世界規模のビジネスへ―」(セッションリーダー:NARO/後藤研究管理役)

本セッションでは、アグリ・フードテックにおける研究開発、標準化・規格基準、おいしさの追求などのブランド化戦略について、オープンイノベーションの視点での講演・討論が行われ、食品科学は新たな世界市場の創造に貢献できることが認識されました。しかしながらそれを進めるには、産業界、研究機関の相互理解と相互利益の確保によるビジネス展開が不可欠であり、セクター間の相互交流がお互いを刺激し、素晴らしいアイディア創出やシナジーが発揮されることを理解しました。

【閉会】

最後に勝田理事により、問題意識の共有や食と健康のイノベーション実現のためのグローバルな取り組みにむけての協力の必要性や期待の言葉でシンポジウムは締めくくられました。

7. シンポジウムの評価

事後アンケート(67名が回答)では、すべての項目(図)で、80%以上の回答者から「良い」「大変良い」と評価されました。また、「食品と健康の科学と産業は世界的に進歩しており、非常に将来有望であることを学んだ。NAROはこれらのイノベーションの先駆者であるとわかった。」、「技術が進み、現代の環境問題等様々な課題解決された食料が今一般化されようとしているのだということを痛感した。」等のシンポジウムを高く評価するコメントが寄せられました。また今後のシンポジウム開催への期待も多く寄せられました。

農研機構 久間理事長の開会挨拶
セッション「食品科学から世界規模のビジネスへ」の討論
農研機構 勝田理事の閉会挨拶(配信会場:農研機構 食と農の科学館)