九州沖縄農業研究センター

べんモリ直播(簡易な水稲湛水直播)

べんモリ直播は、水稲作で田植えの代わりに、水田に直接播種する「直播」の1つです。

代かきをした水田に播種する「湛水直播」で行います。

種子に資材を被覆するカルパーコーティングや鉄コーティングと似ていますが、被覆資材が異なります。べんモリ直播で用いる「べんモリ資材」は、べんがら(酸化鉄)を主成分とし、機能性成分(土壌中で有害な硫化物イオンが発生することを抑制)としてモリブデン化合物、接着剤としてポリビニルアルコールを含みます。

資材費が安く、被覆も容易で、一定の苗立ち安定効果を持っています。
種子の調整方法や播種方法は、カルパーコーティングとほとんど同じです。カルパーコーティング用の播種機で播種できます。また、鉄コーティング用の表面播種機でも、部品を付けるなどによって播種できます。

※被覆後の種子は少し乾きにくいので、通気性の良いシート上に広げると、乾燥が速く作業が容易です。

関連会社からのべんモリ直播の情報

(承諾が得られたメーカーのみ、五十音順に記載)

特徴

詳しくは「水稲べんモリ直播マニュアル」に記載

カルパーコーティングと比較して

被覆資材量が少ない
(被覆作業が容易、資材費が安価、剥離が少ない)
× 生育促進効果は無い
(少し生育が遅くなる可能性があるため、浅く播いて落水出芽とする)
被覆資材は農薬に該当しない

鉄コーティングと比較して

土中播種が可能
(鉄コーティングは表面播種)
被覆後に発熱がない
(生育が速い催芽籾が利用可能、放熱管理が不要、表面が乾けばすぐに播種または保管が可能)
× スズメの食害には効果なし
(スズメが多い水田での実施は注意)

べんモリ資材

詳しくは「水稲べんモリ直播マニュアル」に記載

すぐに使える混合済みの資材が購入できます。

播種法などに対応して2種類があります。

  • 0.3倍重用・・・種子の重量の0.3倍の重量分を被覆する資材
  • 0.1倍重用・・・種子の重量の0.1倍の重量分を被覆する資材

0.3倍重用では、被覆資材が多いので、被覆種子が重く、土壌に埋没しやすく、播種作業が容易です。
0.1倍重用では、被覆資材が少ないので、被覆種子は軽いですが、資材費が安く、被覆作業が容易です。

0.3倍重で被覆 0.1倍重で被覆

べんモリ資材は、森下弁柄工業株式会社が製造します。しかし、生産者への資材販売はしていません。

べんモリ資材の購入は下記にお問い合わせください。10kgで7,000~9,000円程度(送料別)です。

(電話番号順に記載)
他にも取り扱い実績がある会社やJAがあります。

新資材情報

比重が約2倍のべんがらを使った新しいべんモリ資材を販売します。
かさが小さく、資材量が少なくなるため、被覆作業がより簡単になります。
被覆種子の出芽性は同等であることを確認済みです。
詳細は、benmori-admin#ml.affrc.go.jp(#を@に置き換える)にお問い合わせください。
(新べんモリ「BMC3」と指定ください。0.3倍重用です。0.1倍重用はありません。)

新しいべんモリ資材で被覆(0.3倍重)

農薬情報

べんモリ資材の被覆時に混和して種子に処理できる農薬が販売されています。本田での防除に比べて被覆時の混和は容易で省力的です。べんモリ資材の主成分は鉄コーティングと同じ酸化鉄であることから、鉄コーティング用の農薬が利用できます。ただし、鉄コーティングは土壌表面に播種するのに対し、べんモリ直播では土壌中に播種するため、効果や影響が異なる可能性も否定できないことから、まだメーカーが推奨しているわけではありません。
とはいえ、いもち病防除の農薬はすでに実際の栽培で利用され、特段の問題は生じていません。べんモリ資材の被覆では、鉄コーティングに比べて資材量が少ないため、ご利用の際は水分を添加しすぎないようにご注意ください。

普及状況

2016年から本格的に普及を開始し、300ha程の実施がなされたと推定しています
(べんモリ資材の販売量から計算される面積の半分として推定)。
北海道から九州で実施されました(購入場所から推定)。
東北地域での実施が140haと多く、最も多かったのは70haの宮城県でした。
東北地域では0.3倍重用による実施が多く見られました。
なお、一部で、鳥による食害が起きており、鳥の多い場所では注意が必要です。
2017年は東北地域を中心におよそ1500haの水田で実施されたと推定しています。

推定実施面積 実施水田の分布(2017年)

情報提供メール

不定期でべんモリ直播に関する情報をメールで提供しています。
登録は、氏名と所属等(略称)をbenmori-admin#ml.affrc.go.jp(#を@に換える)にお送りください。
なお、生産者や所在が分かりにくい方は都道府県名も記入ください(例:生産者(福岡県))。

お問い合わせ

九州沖縄農業研究センターの「お問い合わせ」からお問い合わせください。

関連情報

技術(実施の参考となる情報)

広報(一般に報道や掲載された情報)

  • 現代農業「安く、被覆が簡単 期待の新技術、べんがらモリブデンコーティング」、2014、1月号、142~143
  • 未来シティ研究所(テレビ東京)「直播きの米づくり」、(動画)、2015
  • 河北新報「<べんモリ>低コスト稲作 新技術で講習会」、(全国版)、2016
  • 日本農業新聞(東北版)「べんがらモリブデンを普及」、2016/7/15、14
  • 農機新聞「「水稲べんがらモリブデン湛水直播」現地検討会を開催」、2016/7/26、4
  • 日本農業新聞(九州版)「水稲直播 コスト安く べんがらモリブデン 種子1キロ当たり70円」、2016/8/5、15
  • 農業共済新聞「水稲直播 種子コーティング技術「べんモリ」 省力・低コストに手ごたえ」、2016/8/10、10
  • 佐賀新聞「農研機構、水稲直播きの普及へ本腰 省力化、コスト削減に効果」、2016
  • 現代農業「【飼料米で稼ぐ5】べんモリ被覆で潤土播種」、2016、9月号、156~161
  • 農業協同組合新聞「べんがらで被覆 省力・安価の水稲湛水直播」、2016
  • 農業共済新聞「水稲湛水直播に「べんモリ被覆」安価で手間いらず」、2016
  • 農機新聞「べんモリ直播が普及 苗立ちよく、倒伏に強い」、2016/11/15、9
  • 現代農業「べんモリ湛水直播 成功への道(上) 播種前日の溝切りで苗立ち良好」、2017、3月号、132~137
  • 現代農業「べんモリ湛水直播 成功への道(下) 播種量の調整とジャンボタニシ対策」、2017、4月号、154~157
  • 日本農業新聞「水稲べんがらモリブデン直播/発芽安定、低コスト/4倍・300ヘクタールに急拡大/宮城県」、2017/6/4、1
  • 日本農業新聞(東北版)「宮城・古川農試が水稲直播/べんがらモリブデン研修会/発芽率の向上の成果報告/移植上回る収量」、2017/7/28、14
  • 農経しんぽう「べんモリ直播実演/宮城県古川農業試験場」、2017
  • 農経しんぽう「宮城県古川農試でべんがらモリブデンコーティング水稲直播栽培研修会」、2017
  • 日本農業新聞「べんモリ直播/処理量と時間半減/重さ2倍の酸化鉄資材/栽培面積1500ヘクタール/1年で5倍に」、2017/9/28、17
  • 日本農業新聞「ジャンボタニシ 直播稲食害/畑地化で減/麦、大豆と2年4作/福岡の農事組合法人/耕地利用を最大化」、2017/10/19、13

研究(研究試験段階の情報)

集会(研究会や実施地の見学会)

動画(実施の参考となる動画)

※追記情報がございましたら、benmori-admin#ml.affrc.go.jp(#を@に置き換える)にご連絡ください。

2017/10/23 更新

法人番号 7050005005207