九州沖縄農業研究センター

所長室から

生産者と実需者を結ぶ新しいイベントへの試み 「明日の九州沖縄ブランド品種の普及を目指して」

岡本補佐官

当センターでは、最近開発した有望品種を一挙に紹介するイベントを、12月7日に熊本市内のホテルで開催しました。当日は、明日の九州沖縄ブランド品種に期待を寄せる、農業生産法人、農業生産団体、加工・流通・食品製造業者などが一同に会し、活気あふれる情報交換の場となりました。

当センターのすぐれた品種開発力

当センターではこれまで、稲、麦類、大豆、サツマイモ、さとうきび、イチゴ、暖地牧草、飼料用とうもろこし等の作物で多くの品種を開発しています。当センターを始め11の試験研究機関で構成される農業・生物系特定産業技術研究機構(農研機構)ではこの5年間で合計122品種の新品種を開発していますが、そのうち実に30品種を当センターで開発しています。しかし、残念ながらその実力の割に普及していない品種も少なくありません。

なぜ普及していないのか?

その大きな理由として、新品種を必要としている人(作物を実際に作る人、使う人)に、しっかりとした情報が伝わっていないことが挙げられます。私たちはこれまで、印刷物やイベントを通して新品種をPRしてきました。しかし独りよがりの情報を一方的に発信した面もあったのではないでしょうか?

新しいイベントのねらい(新しい試み)

そこで今回のイベントでは、参加者を広く一般に募る方法を改め、新品種を真に必要とする人達、すなわち、農業生産法人、農業生産団体、加工・流通業者、食品製造業者に限ることにしました。このため、イベントの共催者である九州農政局や九州沖縄農業経済推進機構の協力を得て参加者リストを作成し、ダイレクトメールで案内状をお送りしました。
一方、イベント会場では、参加者がそれぞれ必要な情報を得られるように、主に生産者を対象とした「新品種紹介コーナー」、加工・利用業者向けの「新食材コーナー」や「機能性コーナー」及び「食卓(試食)コーナー」を設けました。さらに、参加者同士が互いに情報を交換できるよう、参加者リストを配付しました。

イベント当日、そして、その後

イベントには主催者関係者を除いて、120名以上の方々の参加が得られました。数は決して多いとは言えませんが、明日の九州沖縄ブランド確立に期待を寄せる意欲あれる人たちばかりです。アンケート調査結果を見ると、イベントに対して私たちの期待以上の評価でした。このイベントをきっかけとして、思いがけない人達から品種や開発商品に対する問い合わせも来ています。
情報の受け手は誰かという原点に立ち、所をあげて成果の普及に取り組みたいと考えています。

所の開発品種について熱く語る山川所長

所の開発品種について熱く語る山川所長

開発品種を利用した試食コーナーが大人気
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