九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

イチゴ新品種「こいのか」の病害抵抗性

要約

イチゴ新品種「こいのか」は、炭疽病に対して「とよのか」に比べて弱く、「さちのか」や「さがほのか」とほぼ同程度である。葉のうどんこ病には「さちのか」や「とよのか」より強い。輪斑病、疫病、萎黄病には「とよのか」と同等の強さである。 

  • キーワード: イチゴ、こいのか、炭疽病、うどんこ病、輪斑病、疫病、萎黄病、抵抗性
  • 担当: 長崎農技セ・病害虫研究室、野菜研究室
  • 代表連絡先: 電話0957-26-3330
  • 区分: 九州沖縄農業・病害虫
  • 分類: 技術・参考  

背景・ねらい

長崎県では、「とよのか」に代わる次世代の新たな品種として、収穫時期が早く(11月下旬)、多収性・良食味な品種「こいのか」を独立行政法人九州沖縄農業研究センターと連携して選抜し、その普及を図っている。本品種の主要病害に対する抵抗性検定は、育成地で一部実施されているが、未検討の病害、不明な点も残されている。そこで、主要病害について、「さちのか」、「とよのか」、「さがほのか」と比較し、本品種の病害抵抗性を明らかにする。 

成果の内容・特徴

  • イチゴ新品種「こいのか」は、炭疽病(Glomerella cingulata)による萎凋枯死において、「とよのか」や「さがほのか」に比べて弱く、「さちのか」とほぼ同程度である(表1)。しかし、葉の汚斑状斑点については、「さちのか」、「とよのか」、「さがほのか」より形成しにくい。(表1)。
  • 葉のうどんこ病に対しては、「さちのか」より強く、「とよのか」や「さがほのか」に比べてかなり強い(表2)。
  • 輪斑病に対しては、「さちのか」、「とよのか」、「さがほのか」とほぼ同等である(表2)。
  • 疫病(Phytopthora nicotianae)に対しては、「とよのか」と同等の強さで、「さがほのか」より極めて強い(表3)。
  • 萎黄病に対しては、「さちのか」や「とよのか」と同等である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 「こいのか」は、葉に炭疽病の病斑を生じにくいが、萎凋枯死しやすく、「さちのか」と同程度で極めて弱い。栽培管理に当たっては親株管理から育苗期、本圃期までの全期間、細心の注意と十分な防除対策を講じる必要がある。

具体的データ

表1

表2

表3

 

その他

  • 研究課題名: 農業生産現場への緊急技術支援プロジェクト研究
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2002年度~
  • 研究担当者: 難波信行、内川敬介、松尾和敏、藤田晃久