要約
県内の露地ナシ園で、不快害虫センダンササラダニが収穫時にナシ果実に生息して問題となっている。本種に対して殺ダニ剤の効果は低いが、殺虫剤のアラニカルブ水和剤、ビフェントリン水和剤の殺ダニ効果は高い。
- キーワード: 露地ナシ、センダンササラダニ、Phauloppia adjectra
- 担当: 佐賀果樹試・病害虫研究担当
- 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
県内の露地ナシ園で、収穫時にナシ果実にササラダニ類が生息し、本種が果実に生息したまま販売されるとクレームの対象となる不快害虫として問題となっている。このササラダニ類の種類、生態、防除法等が不明であるため、露地ナシ園における本虫の生息状況並びに薬剤による防除効果を把握し、防除対策の資料とする。
成果の内容・特徴
- ナシ果実に生息していたササラダニ類はセンダンササラダニPhauloppia adjectra Aoki et Ohkubo(滋賀県農業技術振興センター江波氏により同定)であり、果実だけでなく樹の枝幹の粗皮下にも多く生息している(図1、図2)。
- 2008年7月30日の調査では、県内の露地豊水園の223樹のうち、センダンササラダニが生息していたのは園中央部の6樹のみである(データ略)。
- センダンササラダニに対し、殺ダニ剤の殺ダニ効果は低いが、殺虫剤のうちアラニカルブ水和剤およびビフェントリン水和剤の殺ダニ効果は高い(表1、表2)。
- 現地ではセンダンササラダニによるナシ果実への加害は確認していない。放飼試験でも同様に、ナシ果実への加害は認められていない(データ略)。
成果の活用面・留意点
- アラニカルブ水和剤およびビフェントリン水和剤はセンダンササラダニに未登録のため、試験研究以外には使用できない。
- 本種はナシ果実を加害することはない。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 露地ナシ園の果実に生息するセンダンササラダニ
- 予算区分: 国補(農薬耐性菌検定事業)
- 研究期間: 2008年度(1995年度~)