九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

エチクロゼートとリン酸・メチオニン剤による「豊福早生」の着色促進効果

要約

極早生ウンシュウ「豊福早生」は、エチクロゼートを満開後50日頃と70日頃の2回散布に加え、着色開始期からリン酸・メチオニン剤を7~10日おきに2~3回散布することにより、着色が早まる。

  • キーワード: 極早生ウンシュウ、「豊福早生」、エチクロゼート、リン酸・メチオニン剤、着色、果実品質
  • 担当: 熊本農研セ・果樹研・常緑果樹研究室
  • 代表連絡先: Tel:0964-32-1723
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

近年の気候温暖化により、ウンシュウミカンにおいては、夏秋期の高温による着色の遅れや果実品質の低下が問題となっている。なかでも出荷時期の早い極早生ウンシュウで影響が大きく、品質低下や出荷遅延の要因となっている。
そこで、極早生ウンシュウ「豊福早生」について熟期促進効果のあるエチクロゼートと、着色開始期からのリン酸・メチオニン剤の葉面散布処理による果実品質向上および着色促進技術を確立する。

成果の内容・特徴

  • エチクロゼートを満開後50日頃と70日頃の2回に加え、リン酸・メチオニン剤を着色開始期から7~10日おきに2~3回散布することにより、無処理に比べて着色程度が3分以上高まり、10月上旬で8分以上の果実割合が30%以上増加する(図1、表1)。
  • 果皮色は、無処理に比べて色差計のa値、a/b値が高く、赤みの濃い果実となる(表1、一部データ略)。
  • 果実品質は、無処理に比べ糖度(Brix)は高い傾向がみられ、クエン酸含量は同程度である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 樹勢の低下した樹などは、エチクロゼートの濃度を薄くしたり、散布回数を減らしたり、散布を控えるなどの対応が必要である。
  • リン酸を含有する資材の散布にあたっては、果実に緑斑等の薬害が発生する場合があるため、適正濃度を遵守し、日中の暑い時間帯を避け早朝か夕方に散布する。
  • 供試したリン酸・メチオニン剤は窒素1.0%、リン酸8.0%、カリ5.0%、マグネシウム1.5%、ホウ素0.1%、その他の成分としてメチオニン、コーン抽出液を含有している。

具体的データ

図1

表1

表2

(川窪 裕二)

その他

  • 研究課題名: 県育成温州ミカンの栽培技術確立
                        温暖化による温州ミカンの果皮障害軽減技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2004~2009年度
  • 研究担当者: 川窪 裕二、北園 邦弥、藤田 賢輔