要約
生食用パインアップルのアスコルビン酸含量、ブロメライン活性は品種間差異が認められる。促進夏実、処理秋実の機能性成分は自然夏実より高い傾向にある。
- キーワード: パインアップル、アスコルビン酸、ブロメライン、促進夏実、処理秋実
- 担当: 沖縄農研・名護支所・果樹班、沖縄農研・システム班
- 代表連絡先: Tel:0980-52-0052
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 研究・参考
背景・ねらい
近年、食品の機能性成分が注目されているが、沖縄県で栽培されている生食用パインアップルの機能性成分については詳しく調査されていない。そこで、機能性成分としてアスコルビン酸、ブロメラインに着目し、沖縄産生食用パインアップル品種の機能性成分を調査する。また、パインアップルはエテホン液剤の処理により任意の時期に花芽誘導ができることから、異なる作型における果実の機能性成分の変動についても明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「ボゴール」、「ジュリオスター」のアスコルビン酸含量は、促進夏実、自然夏実、処理秋実のいずれの作型においても、主要品種「N67-10」に比べ高い傾向にある(図1)。
- 「ゴールドバレル」のアスコルビン酸含量は、10月下旬および6月中旬に花芽誘導処理した果実では「N67-10」より高い(図1)。
- 「N67-10」を除く生食用品種において、花芽誘導処理した果実のアスコルビン酸含量は、自然夏実のアスコルビン酸含量に比べ同程度か高い傾向にある(図1)。
- 「ゴールドバレル」を除く生食用品種のブロメライン活性は、促進夏実、自然夏実、処理秋実のいずれの作型においても、「N67-10」と同程度かやや高い(図2)。
- ほとんどの品種において、花芽誘導した果実のブロメライン活性は、自然夏実に比べ高い傾向にある(図2)。
成果の活用面・留意点
- 沖縄産生食用パインアップルの付加価値の向上に繋がる情報として利用する。
- アスコルビン酸は日持ち性と関連することから、アスコルビン酸含量の高い品種を、日持ち性の育種に利用することを検討する。
- 花芽誘導処理は、エテホン液剤(成分として2-クロロエチルホスホン酸10%)を3%尿素液で1000倍に希釈し、30ml/株を健全で草丈の大きい未出蕾株の葉芯部に施用する。
具体的データ
(正田 守幸、崎山 澄寿)
その他
- 研究課題名: 沖縄県北部特産果実等の高品質安定生産技術の確立
- 予算区分: 受託(沖縄対応特別研究)
- 研究期間: 2007~2009年度
- 研究担当者: 正田 守幸、崎山 澄寿、竹内 誠人、仲宗根 正弘、恩田 聡、山城 梢