要約
冬季の7.2℃以下の積算時間が減少する傾向はないが、積算時間の年次変動が激しくなっている。1995~2008年の積算時間の地域分布は1975~1992年と比べ変動は少ないが、暖冬年にはナシの自発休眠覚醒に必要な積算時間が不足する地域がある。
- キーワード: 7.2℃以下積算時間、休眠、落葉果樹、低温要求量
- 担当: 鹿児島農総セ・果樹部・北薩分場
- 代表連絡先: Tel:0996-42-0049
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 行政・普及
背景・ねらい
落葉果樹の栽培南限地域にある鹿児島県では、温暖化の影響を受けやすく、暖冬により自発休眠覚醒に必要な低温が十分得られなくなることが懸念される。そこで、冬季の7.2℃以下の積算時間の変動や地域分布を明らかにし、落葉果樹の品目および品種の選定や栽培の可否を判定する指標が必要である。
成果の内容・特徴
- 1987~2008年では、7.2℃以下の低温積算時間が減少する傾向はないが、1995年以降では平年値との差が大きくなり、年次変動が激しい(図1)。
- 1999~2008年の低温積算時間の分布図は、1975~1992年の分布図に比べ変動は少ない。しかし、暖冬年では800時間や1000時間分布が北へ大きく移動する(図2)。
- 800~1,000時間分布にあるナシ栽培地域では、暖冬年に積算時間が800時間を下回る危険性が高い(図2、図3)。
成果の活用面・留意点
- 落葉果樹の品種の選定や栽培の適否の指標として活用できる。
- 鹿児島県における自発休眠覚醒に必要な7.2℃以下の積算時間はブドウ368時間、ナシ750時間、モモ947時間である。
- 品種や適地の判定には年次変動も考慮する。
具体的データ
(藤川 和博)
その他
- 研究課題名: 地球温暖化に対応した農業生産技術等の研究・開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008年~2009年
- 研究担当者: 藤川 和博、川原 秀之、東 明弘