要約
「大分果研4号」は、「大津八号」に「天草」を交配して育成した早生カンキツで、多汁性で果肉が軟らかく、減酸が早いため年内収穫・出荷できる。
- キーワード: カンキツ、新品種、「大分果研4号」、早生、多汁性
- 担当: 大分農林水産研果樹・津久見試験地
- 代表連絡先: Tel:0972-82-2837
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
近年の消費者ニーズ多様化により、カンキツの需要・価格が大きく低迷し、年末贈答用商材として長年取り扱われてきたウンシュウミカンの収益性悪化が深刻な問題となっている。このため、年内収穫・出荷が可能な新品種育成に対する要望が高まり、ウンシュウミカンに代わる年末贈答商材として、高品質早生カンキツ品種の育成を行った。
成果の内容・特徴
- 「大分果研4号」は、1995年に高糖系ウンシュウ「大津八号」にタンゴール「天草」の花粉を交配して得られた交雑実生から育成した品種である。
- 樹勢は中程度で、樹姿は開張性。枝梢は細く短くやや密。枝には短いトゲが発生するが、結実を始めると樹勢が落ち着き、やがて消失する(表1)。
- 果実は扁球形で、果皮は濃橙色。剥皮は容易で、じょうのう膜は薄くて軟らかく、オレンジ香がある。(図1、図2、表2)。
- 成熟期の果実品質は、12月中旬で、果汁歩合85%、糖度(Brix)12.0、クエン酸0.82%であり、果汁が多く、減酸の早い品種である(表3)。
- 収穫適期は、果皮が完全着色となり、クエン酸が0.8%程度となる11月下旬から12月中旬である(表4)。
成果の活用面・留意点
- 品種名「大分果研4号」(おおいたかけんよんごう)として2007年3月に品種登録を出願し、2007年8月に出願公表された。
- 減酸が早い品種であり、年末の贈答向け販売が可能である。
- 当面は大分県内のみで普及を図る。
- 本品種の特性を十分に発揮させるためには、土壌が比較的浅く、排水、日照が良好な緩傾斜地での栽培が望ましい。
- 果実は軟らかく、傷みやすいので、収穫、出荷時の取り扱いには注意が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 果樹のオリジナル品種の育成
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 1995~2007年度