九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

排熱回収機等省エネ技術の組合せによる経費削減効果

要約

ハウスミカン栽培において排熱回収機、気泡緩衝シート、循環扇の組合せ導入により重油使用量が約8%削減される。導入機材の償却年数は、補助事業を活用すると重油価格60円/Lで4.8年、80円/Lで3.6年、100円/Lで2.9年となる。

  • キーワード:ハウスミカン、排熱回収機、気泡緩衝シート、循環扇、経費削減
  • 担当:佐賀果樹試・常緑果樹研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

ハウスミカン栽培においては、重油価格高騰による生産経費の増加が問題となっている。そこで排熱回収機、気泡緩衝シート、循環扇の組合せ導入により重油使用量を削減するとともに経費の削減効果を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 実証園(省エネ技術導入園)における重油使用量は、加温開始後日数が経過するととともに対照園より少なく推移する(図1)。また年間を通しての重油使用量は、対照園と比較して8%程度少なくなる(表1)。
  • 実証園と対照園に果実品質や秀品率の差はみられないが、収穫期間は実証園で1週間程度短縮される傾向がみられる(表2)。
  • 省エネ技術の機材導入経費の償却年数は、自己資金で導入すると重油価格60円/Lで8.4年、80円/Lで6.3年、100円/Lで5.1年となる。また農家自己負担率57%の補助事業を活用すると、60円/Lで4.8年、80円/Lで3.6年、100円/Lで2.9年となる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 実証園(12a)には排熱回収機1台と循環扇5台の設置および気泡緩衝シートによるハウス外周部の被覆を行った。また対照園(13a)は農ポリによる2重被覆を行った。なお試験期間中の加温開始日は同一である。
  • 重油加温経費の算出には加温機の電気使用料金は含んでいない。
  • 償却年数の試算は、事業費補助率を県1/3、市町村1/10として行った。

具体的データ

図1

表1

表2

表3

  

その他

  • 研究課題名:ハウスミカン栽培における省エネルギー化技術の構築
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:池田繁成、新堂高広
  • 研究担当者:園芸学会九州支部研究集録第17号:79