要約
「宮崎王丸」は、「ニンポウキンカン」の珠心胚実生品種である。「ニンポウキンカン」に比べ大玉で、2L果以上の比率が高い。糖度はほぼ同等で、クエン酸含量は低いため、甘味比が高く食味良好である。
- キーワード:大玉、キンカン、新品種、珠心胚実生
- 担当:宮崎総合農試・果樹部
- 代表連絡先: Tel:0985-73-7099
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
完熟キンカンでは、大玉果ほど商品性が高い。しかし、現在栽培されている「ニンポウキンカン」では、その大玉果の比率が極めて低い。
そこで、「ニンポウキンカン」の珠心胚実生を利用した大玉で食味が優れるキンカン新品種育成を図る。
成果の内容・特徴
- 「宮崎王丸」は、1992年に「ニンポウキンカン」に、「四倍体ニンポウキンカン」を交配して育成したニンポウキンカンの珠心胚実生品種である。
- 樹姿は直立性、樹勢は弱、枝の太さおよび長さ等「ニンポウキンカン」とほぼ同じである(表1)。
- 1番花の結果率は、「ニンポウキンカン」と同等で、結果性に問題はない(表2)。
- 1果重は22.8gと高い値を示し、糖度は20.6と高く、クエン酸含量は0.43%と低く
食味良好である(表3)。 - 果実肥大は、摘果後から収穫時まで「宮崎王丸」が有意な差で大きく推移し(データ略)、2L以上の階級比率は、「ニンポウキンカン」に比べて高い(表4)。
成果の活用面・留意点
- 現在品種登録出願中である。
- 生産面では、結果(花)性が良く作り易いので、生食用完熟キンカン栽培の新たな品種として期待される。
- 「宮崎王丸」は、県内利用に限る。
具体的データ
その他
- 研究課題名:本県特産カンキツ有利販売のための新系統の選定・開発
キンカン新品種候補「宮崎王丸(仮称)」の特性(施設) - 予算区分:県単
- 研究期間:1992~2009年度
- 研究担当者:佐野真実、竹島久善、児玉良一、黒木重文、山口和典、徳満憲治、荒武貴浩、黒木恒和、木下哲次、平田力也