九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

細粒灰色低地土における水稲-イタリアンライグラス体系での牛ふん堆肥連用効果

要約

水稲-イタリアンライグラス体系の牛ふん堆肥連用は、水稲-小麦体系での稲麦わら堆肥連用に比べ土壌の有機物、可給態リン酸含量は増加し、膨軟になる。しかし、この体系において、化学肥料の減肥なしで牛ふん堆肥を年間2t/10aより多く施用し連作すると、水稲の収量は倒伏等の影響により減収し、食味も低下する。

  • キーワード: 堆肥連用、水田利用、水稲収量、イタリアンライグラス、可給態リン酸
  • 担当: 宮崎県総合農業試験場・土壌環境部
  • 代表連絡先: Tel:0985-73-2124
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

1976年から水稲-小麦体系で稲麦わら堆肥を21年間連用した水田を、1997年から南九州地域の畜産が盛んな地帯における水田の主な作付体系「水稲-イタリアンライグラス、牛ふん堆肥」に変更し、作付体系と堆肥の変化が土壌・作物に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 水稲-イタリアンライグラス体系では、水稲ー小麦体系に比べ、年間施肥量及び牛ふん堆肥からの成分供給増加により、土壌の化学性は全炭素、全窒素、可給態リン酸が蓄積し、その量は牛ふん堆肥の施用量が多いほど多い。(図1)
  • 水稲の収量は、水稲-イタリアンライグラス体系の継続により減少傾向になる。特に、牛ふん堆肥を年間4t/10a施用すると過繁茂となり、倒伏、紋枯病等が発生しやすく減収する。(図2)
  • 玄米タンパク含量は、牛ふん堆肥の施用量が多いほど高くなり、10a当たり牛ふん堆肥4t>牛ふん堆肥2t>牛ふん堆肥1t・化学肥料単用>無窒素となり、年間2t/10aより多い牛ふん堆肥の連用は食味を低下させる。(図3)
  • 水稲跡地の仮比重は、試験開始時の1.13g/cm3が、年間堆肥4t/10aの施用により、水稲-小麦体系終了時に1.07g/cm3、水稲-イタリアンライグラス体系終了時に0.98g/cm3に減少する。また、固相率についても同様に減少し、土壌が膨軟になる。(データ略)

成果の活用面・留意点

  • 細粒灰色低地土での結果である。
  • 使用した堆肥の現物の平均値は以下のとおりである。
    稲麦わら堆肥:水分75%、窒素0.42%、リン酸0.06%、カリ0.43%
    牛ふん堆肥:水分59%、窒素0.71%、リン酸0.82%、カリ0.77%

具体的データ

表1

図1

図2

 図3

 

その他

  • 研究課題名: 堆肥等有機質・化学肥料適正使用指針策定調査
  • 予算区分: 国庫助成(土壌保全)
  • 研究期間: 1976~2006年度