九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

採卵鶏における市販飼料への飼料用籾米添加による産卵成績と卵質

要約

市販飼料への飼料用籾米添加給与は、添加割合30%以上で産卵率や平均卵重が低下する。卵質においては、ハウユニットが高くなり、卵黄色は淡くなる。

  • キーワード: 市販飼料、飼料用米、採卵鶏、産卵成績、卵質
  • 担当: 熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室
  • 代表連絡先:Tel:096-248-6433
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

昨今の飼料価格の高騰問題や食料自給率の向上および耕作放棄地の有効利用の観点から、近年、飼料用米の活用が注目を集めている。特に養鶏に関しては、飼料用米を籾のまま給与できることが実証されておりその期待は大きい。

そこで、市販の採卵鶏飼料に飼料用籾米を添加することにより生産性や卵質に及ぼす影響を明らかにするために、飼料用籾米の添加割合を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 飼料用籾米を添加給与することで生存率、飼料摂取量に影響はないが、64週齢時体重は添加量の増加とともに減少する傾向がり、40%添加で有意に減少する(P<0.01)。
  • 飼料用籾米の添加量が多くなると産卵率は低下する傾向があり、40%添加で有意に減少する(P<0.05)。また、産卵に対する飼料要求率は飼料用籾米の添加とともに上昇する傾向がある(P<0.1)。
  • 飼料用籾米の添加量が多くなると、平均卵重は鶏種によって傾向が異なるものの、30%以上で有意に減少する(P<0.01)。
  • 飼料用籾米を35%(総量比25.9%)以上添加給与すると、ハウユニットが有意に高くなる(P<0.05)。
  • 飼料用籾米の採卵鶏飼料への添加給与は、卵殻強度や卵殻厚に影響しない。
  • 飼料用籾米を30%(総量比23.1%)以上添加給与すると、卵黄色は有意に淡くなる(P<0.01)。

成果の活用面・留意点

  • 飼料用米を籾で給与する場合は、農薬の適正使用の履歴に留意する。
  • 本成果は、市販飼料に飼料用米を自家配合して給与する採卵鶏の生産現場で適応できる。
  • 本成果は暑熱期を挟んで実施された試験から得られたものであり、飼料用籾米の採卵鶏飼料への添加給与は産卵率を低下させ、飼料要求率を上昇させる傾向があったことから、アミノ酸消化率が低下する暑熱期には、単体アミノ酸を補給するなどの対策を取る必要がある。

具体的データ

表1

(大塚 真史)

その他

  • 研究課題名: 飼料用米を活用した家禽の低コスト飼養技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2009~2012年度
  • 研究担当者: 大塚 真史、佐伯 祐里佳、家入 誠二