要約
カンショ残さを添加し、リジン要求量に対しリジンが不足する低リジン飼料を肥育の前後期(体重30~120kg)給与すると、ロース芯中における筋肉内脂肪含量と背脂肪内層中のオレイン酸含量が多い豚肉を生産できる。
- キーワード: カンショ残さ、低リジン飼料、筋肉内脂肪、オレイン酸
- 担当: 熊本農研セ
- 代表連絡先: Tel:096-248-6433
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地(畜産)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
食品リサイクル法が平成13年に施行され、養豚においても食品工場残さ等の飼料としての再利用を推進する必要がある。また、新たに策定された食料・農村・農業基本計画においては、食糧自給率の向上と経営の安定化、攻めの農業への転換が明記されており、海外生産豚肉と明確に差別化でき、輸出をも可能な高品質豚肉を、栄養的制御によって、効率的に生産する技術の確立が強く望まれている。
そこで、栄養的制御技術を駆使するとともに、地域に存在する未利用資源であるカンショを有効活用することによって、筋肉内脂肪含量や脂肪中オレイン酸が高いなどの特徴を持つ高品質な豚肉を効率的に生産する技術を開発することを目的とする。
成果の内容・特徴
- アミノ酸が不足する低リジン飼料(リジン要求量の約70%)に、さらに、カンショ残さを10%添加した飼料を体重30~120kgまで給与すると、最後胸椎後端部位のロース芯中における筋肉内脂肪含量(IMF)が通常の飼料を給与した場合に比較して有意(リジン欠乏パターンでP<0.05)に高い(5.3%)豚肉を生産できる(図1)。カンショ残さは、菓子製造業由来の蒸したカンショ残さを集荷後加熱乾燥し、粉末した残さである。
- 通常飼料を給与した豚肉に対して、カンショ残さ低リジン飼料を給与した豚肉の背脂肪内層におけるオレイン酸の割合は高く、リノール酸の割合は有意(カンショ添加の有無の効果でP<0.05)に低くなる(図2)。
- カンショ残さを添加した低リジン飼料を肥育の前後期(体重30~120kg)給与した豚肉の剪断応力は低くなる傾向(リジン欠乏パターンの効果でP<0.1)がある(図3)。
- カンショ残さにはポリフェノールが含まれるが、カンショ残さには筋肉中のTBARS値に変化はみられない(図3)。
成果の活用面・留意点
- 食品残さ等の未利用資源を活用した高品質地域ブランド豚肉の生産に活用できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: カンショ活用型養豚による自給率向上とハイパー豚肉生産
- 予算区分: 高度化事業
- 研究期間: 2006~2008年度