九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

泌乳中期牛における粉砕飼料用籾米の活用による飼料自給率の向上

要約

乳牛の泌乳中期牛において、粉砕飼料用籾米をTMR中に乾物で10%配合しても、乳生産や血液性状およびルーメン液性状に影響なく、さらに、コーンサイレージ等との組み合わせにより、飼料自給率は48%程度(TDNベース)まで高められる。

  • キーワード:乳牛、粉砕飼料用籾米、乳生産、飼料自給率
  • 担当:熊本畜研・大家畜研究室
  • 代表連絡先: Tel:096-248-6433
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年の酪農経営においては、輸入飼料への依存度が高く、飼料自給率は年々低下してきてる。また、国際的な穀物需要の高まりから輸入飼料価格は短期的に変動し、酪農経営へ与える影響も大きいため、飼料自給率の向上は喫緊の課題である。そのため、国内で生産可能な穀物飼料として、休耕田などを有効活用した飼料用米の生産拡大の取り組みが進められている。
そこで、飼料自給率の向上を目的として、自給粗飼料多給下において、泌乳中期牛への粉砕飼料用米給与が、乾物摂取量や乳量などに与える影響などについて検討する。

成果の内容・特徴

  • 粉砕飼料用籾米を給与TMR中乾物で6~10%程度配合しても、乾物摂取量に差は認められない(表1、表2)。
  • 平均日乳量および乳成分(乳脂率、乳蛋白質率、無脂固形分率)についても、いずれの区にも差はない(表2)。
  • 血液性状およびルーメン液性状についても、飼料用米の給与による影響は見られない(表2、表3)。
  • 自給飼料のコーンサイレージとイタリアンヘイレージに飼料用米を活用することで、飼料自給率は、48%程度(TDNベース)まで高められる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 実際の給与に当たっては、自給粗飼料及び飼料用米の正確な飼料分析値による飼料計算に基づき、給与飼料の成分調整を行う。
  • 飼料用米の材料を籾とする場合、出穂期以降に農薬散布していないものを用いる。
    なお、農薬を施用した場合は、籾すりした玄米で利用する。(「飼料として使用する籾米への農薬の使用について」(平成21年4月20日付け21消安第658号・21生畜第223号))

具体的データ

表1

 

表2

表3

 

 

その他

  • 研究課題名: エコ・フィード活用型給与体系の確立
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2008~2009年度
  • 研究担当者: 時田康広、原野幸子、上村しおり、稲田司、住尾善彦