九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

病虫害複合抵抗性品種「みなみさやか」を利用した減化学農薬防除体系

要約

病虫害複合抵抗性品種である「みなみさやか」とBT水和剤、チャハマキ顆粒病ウイルス・リンゴコカクモンハマキ顆粒病ウイルスを組み合わせた防除体系では、化学農薬の年間使用回数は6回程度でよく、10aあたりの薬剤費は14%~47%程度削減できる。 

  • キーワード: チャ、「みなみさやか」、複合抵抗性、薬剤費削減
  • 担当: 宮崎総農試・茶業支場・栽培加工科
  • 代表連絡先: Tel:0983-27-0355
  • 区分: 九州沖縄農業・茶業
  • 分類: 技術・普及 

背景・ねらい

 近年、消費者の農産物の安全性に対する関心の高まりや環境への負荷を軽減するため、チャ栽培においてもこれまでよりも化学農薬の使用量を削減した防除体系の確立が望まれている。そこで、「みなみさやか」のもつ各病虫害抵抗性の程度を無防除条件下で評価するとともに、BT水和剤のチャノホソガに対する実用性について検証し、既存の技術である顆粒病ウイルスと組み合わせた減化学農薬防除体系の化学農薬使用回数や薬剤費の削減程度を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 「みなみさやか」は、炭疽病、輪斑病および新梢枯死症に対して無防除条件でもこれらの病害の発生は極めて少なく、防除は不要である(図1)。
  • 「みなみさやか」は、クワシロカイガラムシに対して無防除条件でも本種の寄生密度は極めて低く、防除は不要である(図2)。
  • チャノホソガの葉縁潜行期幼虫に対して、BT水和剤を5日間隔で2回散布すると、化学農薬を散布した場合と同程度の高い防除効果が得られる(図3)。
  • 「みなみさやか」とBT水和剤、チャハマキ顆粒病ウイルス・リンゴコカクモンハマキ顆粒病ウイルスを組み込んだ減化学農薬防除体系では、化学農薬の使用回数(成分数)は1年間に6回程度で良く、10aあたりの薬剤費は14%程度削減できる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、南九州などの暖地茶園における防除体系の事例であり、薬剤費の算出にあたっては、平成20年度の販売価格を参考にした。
  • 減化学農薬防除体系(表1)において、チャノホソガの防除にBT水和剤を使用せず、慣行防除体系で使用する薬剤でチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマと同時防除すると、10aあたりの薬剤費は慣行防除体系よりも47%程度削減できる。

具体的データ

図1

図2

図3

表1 

その他

  • 研究課題名: 暖地茶園における生物機能を活用した減農薬病害虫防除技術の体系化と実証
  • 予算区分: 生物機能プロ
  • 研究期間: 2006~2008年度