九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

春先のみ年間2回施肥による茶の省力・低コスト肥培管理技術

要約

石灰窒素、速効性および肥効調節型肥料を利用した春先のみの年間2回施肥体系で慣行施肥と同等の収量ならびに品質を維持し、省力化とコスト削減ならびに環境負荷低減が図られる。

  • キーワード:チャ、施肥、石灰窒素、肥効調節型肥料、省力化、低コスト、環境負荷低減
  • 担当:佐賀茶試・製茶研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0954-42-0066
  • 区分:九州沖縄農業・茶業
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

茶生産農家にとって経営の安定の為には、肥培管理にかかる労力ならびに肥料コストの削減は急務となっている。さらに、収量と品質を確保した上で、環境負荷を低減する施肥体系の確立が望まれている。そこで、石灰窒素および溶出パターンの異なる肥効調節型肥料を組み合わせ、省力かつ低コストな肥培管理技術を組み立てる。

成果の内容・特徴

  • 2月中旬に石灰窒素、3月中旬に速効性および肥効調節型肥料(硝酸化成抑制資材「Dd」入りリニア型40日タイプ被覆尿素ならびにシグモイド型120日タイプ被覆尿素の配合)を施用する年2回施肥体系は、慣行施肥と比較して施肥労力を約6割削減できると同時に、作業の競合を回避できる(表1)。
  • 環境負荷低減ならびに低コスト化の為に、過剰なP2O5、K2O成分を削減した施肥体系であり、肥料代は約4万円/10aで、慣行施肥と比較して1~3割削減できる(表1)。
  • 一・二番茶の収量および品質は慣行施肥と同程度である(表2)。
  • 肥効調節型被覆尿素の窒素成分は、気温に基づく溶出シミュレーションよりもやや遅めに溶出する(図1)。
  • 石灰窒素およびDd入り被覆尿素の効果により、慣行施肥と比較して4~8月のうね間土壌中のアンモニア態窒素濃度が高く維持できる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 茶の肥培管理における省力・低コスト化ならびに環境負荷低減技術として活用できる。
  • 施肥体系の継続に際しては土壌診断を行い、必要に応じて土壌改良を行う。
  • 一・二番茶を収穫後、浅刈りおよび秋整枝を行った結果である。
  • 窒素の溶出パターンは温度によって異なるので、対象地域の気象条件を考慮する。

具体的データ

  表1

図1

図2

表2

その他

  • 研究課題名:お茶における肥効調節型肥料の効率的施肥技術の確立
  • 予算区分:受託
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:明石真幸、宮崎秀雄、山口幸蔵、石橋弘道、角博