要約
福岡県で育成した白色系の電照栽培用秋ギク「雪姫」は、電照抑制12月出し栽培で、挿し穂及び発根苗をそれぞれ2.5°Cで3週間低温処理を行って夜間最低気温15°Cで栽培することにより、茎伸長がよくなり、開花が促進する。
- キーワード: 秋ギク、電照抑制栽培、挿し穂、発根苗、低温処理
- 担当: 福岡農総試花き部・花き栽培チーム
- 代表連絡先: Tel:092-922-4958
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
本県で育成した「雪姫」は、従来品種の「神馬」と比較して花形がよく、花持ち性に優れることから、実需者からの評価が高く、生産が拡大する傾向にある。また、側枝数が少ないことから摘蕾作業の省力化により雇用労力のコスト低減に寄与できる。しかし、本品種は定植後の伸長が「神馬」よりも劣ることから、伸長促進のための技術確立が望まれている。そこで、「雪姫」の茎伸長及び開花促進のための挿し穂及び発根苗の低温処理方法と効果について明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「雪姫」の電照抑制12月出し栽培において、親株から採穂した挿し穂及び発根苗にそれぞれ3週間、2.5°Cで低温処理を行うことにより、定植後の茎伸長が無処理の「神馬」と同等になる。また夜温20°Cで栽培すると伸長性が高まる(図1)。
- 「雪姫」の栽培夜温20°Cでは、挿し穂及び発根苗の低温処理をそれぞれ2週間以上行うことにより、電照打切り後の到花日数が「神馬」よりも短くなる(図2)。
- 夜間最低気温を15°Cとした硬質板ハウスでの実用栽培では、「雪姫」の挿し穂及び発根苗の低温処理をそれぞれ3週間行って定植することにより、「神馬2号」とほとんど同時期に同等な切り花長が得られる(表1)。
成果の活用面・留意点
- 「雪姫」の定植後の茎伸長及び開花促進技術として活用できる。
- 「雪姫」の発根苗のみの低温処理期間は暗黒条件下で4週間を限度とする
具体的データ
その他
- 研究課題名: 秋ギクおよび夏秋ギク新品種の作型適応性の検討と栽培技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年