九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

堆肥施用と被覆尿素を用いた帯状施肥によるタマネギの窒素6割減肥栽培

要約

 中晩生タマネギにおいて、おがくず牛ふん堆肥を5t/10a施用する条件下で、被覆尿素を畦面幅に帯状施肥すれば窒素を6割減肥しても、慣行施肥(26.8kg/10a)と同等の収量が得られ、貯蔵性が向上する。

  • キーワード: おがくず牛ふん堆肥、帯状施肥、タマネギ、減肥
  • 担当: 佐賀上場営農セ・畑作経営研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0955-82-1930
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及 

背景・ねらい

佐賀県上場地域は肉用牛の飼育頭数が多く堆肥を積極的に利用できる環境にあるが、タマネギでは堆肥から供給される化学肥料成分相当量を考慮しない従来の施肥では窒素過多と貯蔵性の低下がみられ、堆肥施用に応じた施肥技術が必要である。
このため、堆肥連用圃場で、おがくず牛ふん堆肥5t/10a施用すれば被覆尿素を用いてリン酸、カリを無施肥、窒素施肥量を3割減肥しても慣行施肥(26.8kg/10a)と同等の収量、品質が得られることを明らかにした。そこで、おがくず牛ふん堆肥を5t/10a施用する条件下で、収量、品質を確保しながら、さらに、窒素施肥量を5割以上削減するため、帯状施肥の有効性を明らかにする。  

成果の内容・特徴

  • おがくず牛ふん堆肥の5t/10a施用条件下では、被覆尿素を用いた帯状施肥によって窒素施用量を6割削減(10.7kg/10a)しても慣行施肥(26.8kg/10a)と同等の収量が得られる(図1)。
  • 帯状施肥では収量に影響がない程度に球部窒素が低くなり、慣行施肥に比べて貯蔵性が向上する(表1)。
  • 帯状施肥では球径比が1.1以下となり慣行施肥と大差なく、形が良好である(表1)。
  • 被覆尿素を用いた帯状施肥の肥料経費は10a当たり5,753円であり、慣行施肥体系28,182円に比べ約8割安くなる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、化学合成農薬と化学肥料を慣行の半分以下とする特別栽培認証制度に活用できる。
  • 本成果は、土壌養分の流亡防止と、除草剤を使用しないことを前提に中晩生マルチ栽培で活用する。
  • 帯状施肥は畦面幅の約1mに施肥する。また、施肥位置と畦面の位置を一致させる必要があり、トラクタ前部に施肥機、後部に畦立てマルチャを装着することで可能となる。
  • 本成果は、1997~2001年にかけて堆肥を毎年5t/10a施用しタマネギを栽培した圃場で得られたものである。

具体的データ 

 図1

表1

 

表2 

その他

  • 研究課題名: 家畜排泄物活用等による葉茎菜類(タマネギ・キャベツ)の減化学肥料・減農薬栽培技術の確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2002~2006年度