九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

イチゴ「さがほのか」における年内多収のための栽培技術

要約

 「さがほのか」の高設促成栽培において、年内に株当たり150g(約100kg/a)の収量を得るには、株当たり8~9果収穫することが必要であり、そのためには、育苗期の窒素中断を8月中旬に行い、株間20cmで定植し、10月中旬に出蕾させることが重要である。

  • キーワード: イチゴ、さがほのか、窒素中断、株間、年内収量
  • 担当: 大分農林水産研野茶・宇佐試験地
  • 代表連絡先: Tel:0978-37-0115
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及 

背景・ねらい

 イチゴ「さがほのか」は「とよのか」の低温処理育苗に比べ早期収量が少ないことが問題となっている。そこで、イチゴ高設栽培における「さがほのか」の早期多収技術を確立するために、育苗時の窒素中断時期、本ぽの株間、頂花房の出蕾時期が年内収量に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 年内収量は年内収穫果数と相関が高く、株当たり8~9果収穫すると150g/株(約100kg/a)の収量が得られる(図1)。
  • 年内収量は、出蕾が10月中旬の時に最も多く、それより早くても遅くても少なくなる(図2)。
  • 育苗期の窒素中断を8月中旬に行うと、頂花房の花数はやや少なくなるが、花芽分化が早く、年内収量が多くなる(表1)。
  • 株間が15~20cmでは、株間が広いほど2月まで及び5月まで株当たり果数が多く、a当たり収量に有意な差がないので、株間は20cmが適切である(表2)。
  • 年内収量に及ぼす影響の重み付けを数量化[I]類で行った結果、年内収量には窒素中断時期、株間、頂花房出蕾日の順に影響が大きい(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 育苗期の置き肥は8月中旬に肥効が切れるよう日数を逆算して施肥する。
  • 育苗時の葉柄中硝酸濃度は8月下旬で500ppm以下を目安とする。
  • 本試験は、7月上~中旬にアイポットで採苗し、大分方式Y型イチゴ高設栽培で行った結果である。

具体的データ

図1  

 図1

表1

表2

表3 

その他

  • 研究課題名: イチゴ高品質多収栽培技術の確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2005~2007年度