九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

秋輪ギク「新神2」の無側枝性発現のための生育温度

要約

秋輪ギクの半無側枝性品種「新神2」の無側枝性は、昼温25°C/夜温15°Cで発現し、処理温度が高くなるほど強く発現する。無側枝性は高温遭遇開始時の展開葉から上位4~6節に始まり、高温遭遇終了後も遭遇温度により3~9節後まで継続する。

  • キーワード:秋輪ギク、新神2、無側枝性
  • 担当:鹿児島農総セ・花き部
  • 代表連絡先: Tel:0993-35-0210
  • 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

輪ギクの無側枝性発現条件については、これまでに夏秋ギクで若干の知見があり、特に温度と密接な関係があることが知られている。「新神2」は秋輪ギクの新品種で無側枝性があるが、その発現条件や誘導技術は十分に解明されていない。
そこで、人工気象室において生育温度(昼温と夜温の組合せ)の違いが、「新神2」の無側枝性発現に及ぼす影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • 「新神2」の無側枝性発現は昼温25°C/夜温15°Cの温度処理で認められ、処理温度が高いほどその発現の割合は高くなり、昼温30°Cかつ平均気温25°C以上で安定して発現する。さらに、昼温35°C/夜温25°Cでは無側枝性が顕著に表れる(表1、図1)。
  • 無側枝性の発現は、処理温度が高いほど下位節で始まり、昼温35°C/夜温25°Cでは、温度処理を開始した時点の最上部の展開葉から4節以降、昼温25°C/夜温15°Cでは6節以降で認められる。また、発現が終了する節位は処理温度が高いほど、より上位節まで無側枝性が継続する(図1)。
  • 昼温と夜温の影響を同じ日平均気温で比較した場合、昼温が30°Cまでは昼温のほうが夜温より無側枝性発現に強く作用するが、昼温が30°C以上では夜温にあまり関係なく無側枝性が発現する(表1、図1)。
  • 以上から、「新神2」は施設の蒸し込み処理等により、昼温30°Cかつ平均気温25°C以上に管理することで、無側枝性を速やかに発現させ、かつ持続させ、摘蕾作業を大幅に削減できると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 今回の成果については人工気象室内の結果であるので、本ぽハウス栽培での活用については留意する。
  • 最も処理温度の低い昼温25°C/夜温15°Cでも無側枝性が発現しており、今後この処理温度以下での検討が必要である。
  • 花芽形成期の高温は開花遅延や切り花品質の低下を招くので、本ぽ栽培での高温処理は消灯時までとする。
  • 無側枝性発現の具体的な温度を把握することで、母株の管理や採穂時期についても活用することができる。

具体的データ

 表1

図1

その他

  • 研究課題名:輪ギクの高回転周年効率生産システムの構築
  • 予算区分:公募型(受託)
  • 研究期間:2008~2010年度
  • 研究担当者:南公宗、永吉実孝