北海道農業研究センター

資源作物グループ

安定多収で良食味なソバ品種の開発

北海道は全国のソバの約1/3を占める主産地ですが、ソバの生産性は他の作物と比較して極めて低いのが現状です。ソバ生産農家の収益性を上げるためには、収量性の向上や付加価値の付与のほか、ソバを素材とした6次化産業の振興が挙げられ、生産者や実需者からはこれに対応できる安定多収で高品質な品種が求められています。そこで、難脱粒性等の農業特性を備えた安定多収な良食味ソバ品種等の育成を行うとともに、半矮性や大粒などの有用特性を持った育種素材の開発を行っています。また、抗酸化能や脂質代謝改善効果を有するとされるルチン(ポリフェノールの一種)が普通ソバの約100倍含まれているダッタンソバについても耐倒伏性や半矮性の導入等、収量や品質の安定化に寄与する技術開発に取り組んでいます。

畑輪作体系に組み込んだ薬用作物の栽培技術の確立

生産現場では北海道の畑輪作体系に導入可能な高収益作物への期待が高まっています。すでに北海道で栽培されている薬用作物としてトウキやソヨウ等がありますが、畑輪作体系に導入した場合の安定生産技術に課題が残されています。そこで、トウキ等の薬用作物を畑輪作体系に組み込んで他作物に及ぼす影響等の解明を行い、栽培技術の確立等に取り組みます。

普通ソバ産地の活性化に寄与する新品種として、早熟、大粒、多収で食味に優れた「レラノカオリ」(平成21年)、多収で容積重が重くルチン含量が高い「キタミツキ」(平成27年)を育成しました。ダッタンソバについては、「満天きらり」(平成24年)を育成し、オホーツク地域を中心に麺、パスタや菓子などの製造販売を通じた6次産業化の取り組みに貢献しています。


多収で高品質のダッタンソバ「満天きらり」

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