農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

ラッカセイ収穫機

(2013年発表)

国産落花生の栽培を支える

  • 掘取り、土ふるい、反転を一工程で
  • つらい収穫作業の時間を短縮

写真
ラッカセイ収穫機

1.利用のメリット

ラッカセイを掘取り、根部の土をふるい落として地表面に露出させた状態で落下させるため、その後の列状に並べる手作業が楽になり、従来の機械を使う収穫作業に比べて作業時間が短縮できる。

2.開発機の概要

  • 開発したラッカセイ収穫機は、掘取部と反転部で構成されるトラクタ装着型の機械である(図)。1畝2条栽培で畝幅120~140cm、条間45cmの栽培様式に対応する(表)。作業はオペレータ1名で行う。
  • 掘取部の姿勢制御ローラーが茎葉を前方に押し倒し、バーコンベアの突起が株を掻き上げて搬送する。根部に付着する土は、バーコンベアで搬送される間にふるい落とされる。株はその後、反転ディスクで後方へ放てきされ、反転ガイド板の傾斜面により株の根部を上向きに地面へ落下する。
  • 処理の後は、株が地表に完全に露出するため、株を引き抜き、土をふるい落とす作業が不要になり、反転の手直し作業だけで済むことから、作業時間を35%程度短縮できる。

3.活用上の留意点

ラッカセイの株の分枝長が極端に長い場合や過繁茂状態など、作物状態によっては株が反転しない場合がある。

4.共同研究実施会社

松山株式会社

5.主要諸元・構造

掘取部と反転部で構成されるトラクタ装着型の収穫機である。掘取部は、茎葉を前方に押し倒す姿勢制御ローラー、コールタ、根切刃および突起付きバーコンベアで構成される。反転部は、株を後方へ放てきする反転ディスクと株を反転させる反転ガイド板で構成される。

表-諸元表 図-ラッカセイ収穫機(上:掘取部 下:反転部)

6.作業性能

  • 1畝2条栽培のラッカセイを2条同時に掘取り、根部の土をふるい落とし、地表面に反転状態で落下させることができ、'千葉半立'、'ナカテユタカ'で性能試験を行った結果、最高で74%の株が反転し、収穫損失は概ね6%以下であった。
  • 作業速度は0.4m/sで、10aあたり作業時間は0.56時間であった。処理後に株を完全に反転させる手作業を含めた投下労働時間は10aあたり4.4時間で、慣行作業より35%短縮できた。

(試験場所:千葉県八街市・香取市、茨城県水戸市、鹿児島県鹿屋市)