農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

ブームスプレーヤのブーム振動制御装置

(2013年発表)

ブームが揺れずに高速で安定した作業が可能なブームスプレーヤ

  • 慣行の2倍速程度で安定した散布作業が可能
  • 散布作業時のドリフトを低減

写真
ブームスプレーヤ

1.利用のメリット

開発した装置をブームスプレーヤに装着することにより、ブームの振動を制御して慣行の2倍程度の速度でも安定した散布作業が可能となり、作業能率の向上や作業負担面積の拡大を図ることができる。また、ドリフト(農薬飛散)を低減でき、環境に配慮した作業が可能となる。

2.開発機の概要

  • ブームスプレーヤ(乗用管理機搭載式)のブーム振動制御をする装置であり、上下振動制御装置(HPS:Hydro-Pneumatic Suspension)、ロール制御装置(ロールダンパ)、前後振動制御装置(高剛性ブーム)で構成される(図)。
  • 開発装置を装着したブームスプレーヤは、振動によるブームの最大変位が既存機よりも抑制され、振動の減衰も速くなるため、慣行の2倍程度の作業速度(約1.0 m/s)で安定した散布作業が可能となる。
  • ブームの振動が低減されることにより、散布作業時のドリフトを抑制できる。

3.活用上の留意点

  • 本装置は振動を低減する装置であり、メーカ推奨以外の作業・操作(ブーム拡張時の無理な作業・操作など)に対応するものではない。
  • ドリフトの発生は、風などの自然環境に大きく左右されることが多いため、開発機を用いる場でも、従来と同様に、農薬散布に適した条件・環境下で作業を行うことが望ましい。

4.共同研究実施会社

KYB株式会社、KYB・エンジニアリングアンドサービス株式会社、株式会社やまびこ

5.主要諸元・構造

上下振動制御装置(HPS:Hydro-Pneumatic Suspension)、ロール制御装置、前後方向高剛性ブームで構成される振動制御装置を搭載したブームスプレーヤ(乗用管理機搭載式)である。

表1-本機 表2-高剛性ブーム 表3-HPSとロール制御装置

図-開発機の外観

6.作業性能

  • 障害物走行試験、急制動試験(1.0m/sで走行し急制動する条件)、ほ場走行試験を行った結果、ブーム振動制御装置を用いることで、慣行作業速度の2倍程度で走行してもブームの上下・前後方向の振動を制御することが可能であった。
  • ドリフト低減効果を確認した結果、ブームを制振することで、1mと近い距離においても飛散を低減できた。また、ブームの制振により、散布液の飛散を抑制できることから、不均一散布も抑制される。

(試験場所:北海道空知郡、鹿児島県曽於市、生研センター及び同附属農場)