九州沖縄農業研究センター

所長室から

所長挨拶(2012年4月)

九州沖縄農業研究センター所長 寺田 文典

寺田 文典 九州沖縄農業研究センター(九州沖縄農研)は基礎研究から応用研究、さらには開発した技術の普及までを一貫して取り組んでいる研究機関であり、皆様とともに九州沖縄地域の農業技術の開発、関連産業の振興、さらには九州沖縄発の新しい食文化の創造を提案することを目標として研究活動を展開しています。開発した成果には食品の機能性に着目した紫サツマイモなどの新品種の開発と実用化や水田における病虫害発生予防・防除技術に貢献するウンカの海外飛来予測手法の開発などがあります。また、この地が地球温暖化に伴う影響を大きく受ける地域であることから農業への温暖化の影響緩和のための技術開発、たとえば家畜の暑熱対策や高温に強く食味に優れる水稲品種の開発などにも取り組んでいます。さらには最新の植物工場技術の実証研究も始まりました。

昨今の農業・農村を取り巻く情勢には大変厳しいものがあります。一昨年に宮崎県で発生した口蹄疫、昨年の東日本大震災・福島第1原子力発電所事故などがわが国の農業のあり方に大きなインパクトを与えています。穀物価格の高騰やTPP参加問題など世界経済のグローバル化が農業・農村に及ぼす影響も大変大きなものと思われます。九州沖縄農研ではそのような状況を打破するキーテクノロジーを開発するとともに、成果の普及に向けて産学官連携に一層力を注いで参ります。農業は国の繁栄・安定の基盤であり、研究・技術開発はそのための礎となるものです。九州沖縄農研は皆様と共に九州・沖縄地域の、そして日本の明日を目指して参ります。