九州沖縄農業研究センター

所長室から

所長就任挨拶

九州沖縄農業研究センター所長 栗原 光規

栗原 光規 農研機構九州沖縄農業研究センター(以下、九州沖縄農研)の所長を4月1日に拝命しました栗原光規(くりはら みつのり)です。どうぞよろしくお願いいたします。

就任に当たりひとことご挨拶申し上げたいと思いますが、先ずはこの度の平成28年熊本地震において被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、皆様には日頃より九州沖縄農研の活動をご理解いただき、ご支援ご協力を賜っておりますこと、厚くお礼申し上げます。

九州沖縄農研は、昭和7年の農林省農事試験場九州小麦試験地発足に始まり、昭和25年に九州農業試験場となり、その後数次に亘る組織再編を経て、平成13年に国の試験研究機関の独立行政法人化に伴い農研機構九州沖縄農研として発足し15年が過ぎました。この間、南西諸島を含む温暖地から暖地(以下、九州沖縄地域)の水田作、畑作、園芸、畜産等に関する総合研究及び地域条件に立脚した基礎的・先導的な研究を農研機構内研究機関、大学等と密接に連携を取りながら効率的に推進し、得られた研究成果については普及組織や民間企業等と連携・協力しながら実用化等をすすめてきました。

近年の代表的育成品種 近年の代表的な品種として、
1) 暑くても安定した品質で多収の水稲品種「にこまる」
2) 暖地・温暖地での栽培に適したパン用小麦品種「ミナミノカオリ」
3) 食用あるいは焼酎用に適する多収の大麦品種「はるか二条」
4) 暖地での栽培に適した大粒の黒大豆品種「クロダマル」
5) 甘さが強くなめらかな食感で焼き芋に最適なサツマイモ品種「べにはるか」
6) 九州の温暖な気候を利用した春まきソバ品種「春のいぶき」
7) ビタミンCを多く含むイチゴ品種「おいCベリー」
などがあり、着実に普及しています。

また、これらの品種を活用した、 8) 産地形成と新たな商品開発といった農業の6次産業化の促進にも取り組んでいます。

さらに、農研機構で最も南に位置する研究組織として 9) 「海外から飛来するヒメトビウンカ飛来予測システム」や10) 「高温等による水稲乳白色粒予測技術」、11) 「麦の赤かび病総合防御マニュアル」、12) 「イチゴのクラウン温度制御技術」、13) 「周年放牧肥育による牛肉生産技術」など、地域の特性を生かした基礎的・先導的な技術も開発しています。

このような折、農研機構は、本年4月に農業生物資源研究所と農業環境技術研究所、種苗管理センターと統合し、次の役割を担う国立研究開発法人として、新たに第4期中長期計画をスタートさせました。

統合後の農研機構の役割は、農業・食料・環境に係る課題についてグローバルな視野の下に、研究開発から成果の社会還元までを一体的に推進し、安全な食料の安定供給、産業競争力の強化、環境保全および新たな価値の創造を通じて、我が国の地域と社会の持続的発展に貢献することです。
その中で、九州沖縄農研は農研機構の技術を世に出すフロントライン(前線)として、地域農業研究のハブ機能を強化し、研究ニーズの収集、地域農業が抱える問題への対応をより迅速に行えるよう、取り組みを加速します。そのために、先進的な担い手等から構成されるアドバイザリーボードの新設、現場ニーズの把握から研究成果の橋渡しまでを一貫して推進する産学連携室の組織化、産学連携コーディネーターと農業技術コミュニケーターの配置を行うとともに、普及組織や公設試験研究機関、大学、民間企業、生産者、実需者等の関係機関と一体となって研究開発成果の現場移転を促進する現地実証試験を充実・強化します。また、現場から得られる重要なニーズについては、農研機構全体で共有し、食料・農業・農村に係る問題解決に向けて、研究開発成果の利活用を見据えた基礎的な研究から応用・実用化までの研究開発を総合的に推進し、優れた成果を創出し広く社会に移転することにより、「研究開発成果の最大化」を目指します。

九州沖縄農研は、これまでの経験と実績を踏まえ、南西諸島を含む温暖地から暖地の農業及び食品産業等の発展、皆様の生活の質の向上に貢献する技術開発により積極的に取り組みますので、引き続きご指導・ご支援を賜りますようお願いいたします。

平成28年4月
農研機構 九州沖縄農業研究センター
所長 栗原光規